第10怪 髭切
やけに存在感のあるおじいさんがこちらへ向かってきたので、私はその場を直ぐに離れようとすると、そのおじいさんが話しかけて来た。
「そこの若いの。ちょっと待たんか。」
(私知らずにこの人に何かしたのかな!?)と思い恐る恐るその人に
何故待てと言ったのかを問う。
「は、はい、何でしょうか?私何かしましたでしょうか〜?」
「お主、匂うぞ」
こう言われた時は最初は迷惑な老人か……と思ったが次の瞬間驚くべき事を話し出した。
「お主、人ならざる者が見えて居るな?
例えば、妖怪……とかな」
何故分かったのか瞠目どうもくな表情をしながら聞くと、妖怪が見える人はある匂いがするらしいのだ。
しかし、それも他の一般的な人達には匂わず、妖怪や幽霊の類が見える人にしか匂わないらしい。
どの様な匂いかと言うと、
言われてみれば夏だと言うのに、確かに
会社で、美里は少し金木犀の香りがしたが、その様な香水なのだろう……と思い気にしなかった。
そう言う私は香水など付けてはいないし、お風呂で使うボディーソープだって金木犀では無い。
そして、妖怪は金木犀ではない別の香りがするらしいのだが、臭いのする妖怪は大抵決まってるらしい。
人に利益を与えたり、害のない妖怪は無臭なのだが、人に害を与える悪い妖怪は不快な異臭を放ち、非常に表しにくいのだが、腐敗臭に似た臭いだとこの人は言う。
確かにこの間大天狗が居た時は少し生ゴミの様な……腐った様な変な臭いがしたが、誰かがそこら辺に生ゴミを捨てたんだろうとしか思わなかった。
―――そして、その人は
「そうじゃ、まだ自己紹介がまだじゃったな。ワシの名は
ゾロ目ではないと思うのだけれど、取り敢えず 先に自分の名前を名乗ってくれたので私も仕方なく名乗る。
「私は美影 李華です。」
名前を言った瞬間漸十郎さんは軽く笑った。
「そうか……美影か……道理で妖が見えていたわけじゃな!」
意味深な事を言ったので、私は「それはどういう……」と話すタイミングで漸十郎は言葉をかぶせてきた
「そのうち分かるじゃろ。」
そう言ってさらに話を続ける。
「これから大変な日々になるぞ〜!!お主にこれをやろう。」
私に手渡してきた物は紅蓮色の太刀……だと思ったら漸十郎が柄の底を押した次の瞬間に見る見るうちに小さく収縮し短刀へと変わる。
驚いた表情で見ていると、何を言いたいのか察した様で、説明を始めた。
「ワシが短刀になる様に改造したんじゃ。そしてこの刀は中々手に入らないレア物でな……名前は髭切又の名を鬼丸と言って源家の家宝だ。ちなみにじゃが、
さらに、漸十郎は
「また会おう。土曜日は偶にここに来る」
とだけ言い残し帰って行った。
刀……どうしよう。銃刀法違反にならないかな……
そうか。ここは東京 コスプレだと思われ……ないよなぁ……だって刀だけだし。
―――以外にバレずに無事家に帰れた
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