第5怪 見える見えない

朝五時五十分起床し朝ごはんを作る

天狐ちゃんを起こし一緒にご飯を食べる。


メニューはだし巻き玉子焼きとウインナー

ご飯に鰹かつおのふりかけをかけてあげただけのシンプルなおかず


「な、なんなのじゃこのご飯上に乗った物は!う、美味い!」


天狐は目をキラキラさせながらご飯を口に頬張っていた。


「それはの鰹かつおふりかけって言って魚に味を付けて粉にしたものよ。ご飯に振りかけるから、ふりかけって言うのよ」


こんな平和な会話をしていると時間が過ぎていた。


会って1日しか経っていないが、天狐ちゃんは悪い妖怪ではないみたいだ。


時計を見ると六時二十分になっていた


準備をして家を出る……


しかし天狐ちゃんが離れない。


「今から私は仕事に行くから天狐ちゃんは家に居てね?」


そう言うと

「護衛として付いて行ってやるのじゃ。有り難く思うのだな!」


天狐は何かを企んだ様な笑顔を見せた。


「来ても良いけど皆んな天狐ちゃんを見てびっくりすると思うよ?」


天狐は少しニヤッとし、そら来たと言わんばかりに話し始めた。


「そういう事なら大丈夫じゃ。耳と尻尾は普通の人には見えないからの!……姿しか」


そうだったんだ、他の人には見えなかったんだ…って

ん?姿しか……って事は姿は見えるの?

のっぺらぼうを見た時は皆んな見えていなかった様だけど……


「天狐ちゃん、ちょっと聞いて良い?」


「うむ」


「この前私のっぺらぼうを見たんだけどさ」


「のっぺらぼうか。久しく見ておらんの。其奴がどうかしたのか?」


「初めて見たから思わず驚いて、叫んだのよ。何人か足を止めてくれて心配してくれたんだけどさ」


「ふむふむ」


「止まってくれた人に顔がない人が居た!って言ったら幻覚だろうと信じてもらえなかったって話なんだけど……しかも変な人って思われたし」


「うむ、皆が皆妖怪が見える訳じゃ無いじゃろ?妖怪とて人間界に溶け込もうと必死なんじゃ。妖怪が見える奴にはのっぺらぼうに見えて、普通の奴らには、同じ人間に見えるのじゃ。」


私は納得したような表情を浮かべると、天狐は続けて話し出す。


「李華が変な奴って思われたのもそうじゃ。周りから見たら、只の人間に指を指してあの人のっぺらぼうっておかしな事を言ってる変な奴にしか思わんじゃろ。」


「う、うん。まぁそうだよね。つまり、妖怪を見る力のない人間が妖怪を見ても、普通の人にしか見えなくて、私みたいに妖怪が見える人が見たらその姿のまま見えるって訳ね.......」


「うむ、我が言った事をそっくりそのまま言っただけじゃな。」


何故か天狐がドヤ顔をしている。


「ぐっ....じゃ、じゃあ天狐ちゃんを周りの人が見ても....」


「そうじゃ、普通の童としか思わんじゃろな」


歩きながら話していると、いつの間にか職場に着いていた。


「ここだよ天狐ちゃん。余計な事しないでね?!」


「……それじゃ李華の職場とやらの見学と行くかの フッフッフッ」


「無視!?」

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