第2怪 ダイダラボッチ

―――山!?どうしていきなり山なんか……と一人呟いていると、またもや地鳴りが響く。


よく見ると、山が少しづつ動いているのが分かった。私は驚きを隠せずにいた。


「どう言うこと!?」と独り言をする頃には山は巨大な人へと変貌していた。


私は目を見開きその場に立ち尽くしていた。

人は本当に不思議で、驚き過ぎると、叫び声すらあげないのだ。


そして、その巨人は、己の巨体を小さくしゃがませて、話し始めた


「我の名はダイダラボッチ、山作りの神なり。お前に空気の澄んで、自然の多い場所を与えよう。」


ダイダラボッチ……昔に一度興味本位で調べた事がある。確か、創造の神、上級妖怪と記されていた。


にわかには信じ難いが、その場に現れているので信じるしかない。


何故空気の澄んで、自然の多い場所を私に与えるのか疑問に思い問うと、ダイダラボッチ曰く今時の日本には自然を好きな若者が少なく、態々住みたいとまで思う若者はあまりいないから私を気に入って、山を作ってくれるらしい。


さらに、ダイダラボッチが私に質問をしてきた。


「若者よ。お前には土を触る事や、虫を毛嫌いせずに掴む事が出来るか?」と聞いてきたので、「はい、出来ます」とだけ答えた。


すると、ダイダラボッチが、「明日の夜に一度またここに来い。さすれば、お前の望みは実現するだろう……」そう言ってダイダラボッチは街へと姿を消して行った。


―――次の日

夜を迎え、家の近くの森があるであろう場所へと足を運ぶと、確かにその場所には鎮守の森の様な鬱蒼うっそうとした幻想的な森があった。


そして、ダイダラボッチがまた来て、森のことについて話す

「この森は朝になると消えてしまう。だから朝になる前にきちんと帰って来い。」


だから夜なのか……と一人呟いていると、ダイダラボッチの姿が見えなくなっていた。


李華は森の入口であろう場所に目を凝らすと森の中が大きく輝いていて、さらに、森の中心部の方から音楽や、様々な動物達の鳴き声が聞こえてきた。


そして李華は冒険心で、森の中に入ってみる事にしたのだった。

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