第1怪 地震
あの後昼休みが開けて、いつも通りに仕事をこなし、家に帰ったのだが、何かいつもと部屋の雰囲気が違った。
今まで感じたことのない違和感に私は
少々戸惑ったが疲れすぎもあってか直ぐに寝てしまった。
朝起きて、いつも通り仕事に行く支度をして外に出ると、季節は夏の真っ只中なので、日差しがとても暑い。
でも、偶に吹く夏のそよ風が心地良くて
それに、朝早く起きると、とても清々しい気持ちになれる。
そして私はいつも通勤で使う道をしばらく通っていると、見間違いなら良かったのに、それは私と目があったのだ。
私は咄嗟に悲鳴を上げ、尻餅をついてしまった。
すると、何人かは素通りしたのだが、心配してくれている通行人が何人も足を止めてくれた。
「大丈夫ですか?!」
心配の声も沢山耳に入ってきたのだが、
「ど、どうしたんですか!?」
と、通行人の1人に聞かれたので、咄嗟に目の前を指差して
「あ、あ、あそこに顔のない人が居たんです!!」
そう言うと、通行人の一人が、
「見間違えでしょう。きっと疲れてるんですよ。おかしな人だなぁ」
と鼻で笑いながら言ってきたので、私は
「どうしてそんなこと言えるんですか!?」と涙目で言うと、「いや……だってあそこには顔のない人なんて居ませんし、何なら普通の人しか居ませんよ??」
暫く沈黙が続いたが、私は立ち上がり、
「そう……ですか。もう良いです。私も仕事があるので行きます。」そう言って隣に落ちていた自分の鞄を持ち、立ち去ると、後ろの方で笑い声が聞こえた。きっと皆んな私をおかしな人とレッテルを貼って笑い者にしてるのだろう。
大きく溜息を吐いて、俯きながら歩いていると、直ぐに仕事場に着いた。
部署に入ると、部長がホワイトボードに貼ってある成績を剥がしていたので、小さく挨拶をする。
「おはようございます……」
「李華ちゃん、どうしたんだい?今日は元気が無いね〜?」と顔を見るなりすぐ様心配してくれた。
「何でも無いです……」と返答すると、
「何かあったら何時でも相談するんだよ。報告、連絡、相談!報連相!」
親指を上に突き上げサムズアップをし、部長は自分の席に戻って行った。
そして私は美里ちゃんには言う事にした。何故なら昨日のうどん屋のおじさんの尻尾も見えていたと言ってたからだ。
美里ちゃんがすぐ様私が朝見た顔が無い人を調べたのだが、のっぺらぼうと記されていた。
妖怪だと言われても信じるしかなくなってきた。私は目で見ていないものは信じないのだけれど、実際に目にしたのなら信じるしか無いのだ。
今まで生きてきて二十二年間、幽霊や妖怪の類はこれっぽっちも見た事が無いのに何故急に見える様になったのだろうか・・・
うどんを食べたから?などと変な想像したがそれだったら他の客も見える様になっているに違いない。
あの時奥に一人うどんを食べていた客が居たのだが、店員のおじさんを見ても全然驚いた様子を見せなかった。
美里も実は見えていたらしいが、美里に至ってははっきり見えていたとかでは無く、うっすらぼやけながら見えたらしい。そして私が驚いて叫んだので、確信に辿りついたと言っていた。
―――仕事をしながらも美里ちゃんと雑談をしていたら直ぐに昼休みが来て、コンビニで買っておいたお弁当を美里ちゃんと食べる。
そして昼休みも終わり、仕事をこなしているとあっという間に午後5時が経っていた。
いつも通り私は会社を出て帰っていたのだが、家に帰る途中に地響きと同時に地震が起きた。
スマホで確認すると、何故か東京都が震源地になっていて、震度7と書いてあった。
不思議な事に地震が起きていると言うのに、被害が無かったのだ。
―――そして家に帰ると、家の隣に大きな山が出来ていた。
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