う
昨日も一人、知り合いが死んだ。
先生は軽く手を合わせると供養らしいことは他にせず、服をぬがして、肉体を拭いた。
それから何日か分に捌いていく。
その手は次第に手慣れていた。
肥満したおばさんの異常な腕力に不気味さを感じながらも、そうしなければ生きてはいけない現状に対する諦めもある。
とくにもう、こんな事を繰り返して生きていくのは逆に辛い。
生きるって一体どういうことなのだろうか。
やがて救いはあるのだろうか。
もう考えるのもやめることにした。
ただ死なないために生きるだけなんだ。
やけに汗が目にはいる。
陽射しの眩しさが心に痛い。
無法が法になりつつあるこの世界、群れから外れれば飢え死にする。
雨水を貯水していた水筒も干からびる。
いったいいつまで続くのかと思いつつ、結局、いづれは行き詰る。
やがて生き残りが少数になったなら問題が変わるのかもしれないが。
その時までは流れに任せて、ただ毎日をやり過ごす。
それが最善のように考えられるのだ。
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