第14話 野営
シェルターといってもほとんど野宿と変わりはしない。
少年は夜間、何度も物音で目が覚めた。橋台の下は草木が生い茂っている。
どうやら草木にいるカエルや猫が物音を立てているようだ。安全な室内で生活をしていた少年にとって野営に慣れるまで時間がかかる。
そうこうしている内に夜が空けた。少年は河原へ這い出ると朝日の眩しさに目を細めながらペットボトルのお茶で歯を磨き、顔を洗った。
友人は午前中、部活がある為、少年は単独での行動を開始した。
まずは補導されない身なりを維持する必要がある。
少年は暫し勘案した後、妙案を思いついた。簡易シェルターのすぐ近くに大型スーパーがある。そこには多目的用トイレが複数台設置されている。シャワーと洗濯の問題はクリアできるだろうと考えた。
少年は早速スーパーへ向かった。ビンゴだ。オスメイト用のシャワーがある上に温水も使える。少年はシャワーを手早く済ませた。
次はシェルターの立ち上げだ。橋台と橋桁の間にホームセンターで購入した角材を4本
四角形になる位置に挟む。そして挟んだ角材の間に段ボールと新聞紙を貼り付けて壁にした。扉の部分は橋桁に新聞紙を貼り付けて開閉できるようにした。これでシェルターは完成である。
余った角材と河原に捨てられていたほうきの柄を使って、簡易物干し竿をこしらえた。これで洗濯物を干すことができる
部活を終えた友人がやってきた。
友人はシェルターを見ると
「床が段ボールだけでは痛そうだな」
「その通りだ。段ボールの下は橋台のコンクリートでできているから、お世辞にも快適とは言えないな」
友人は何か閃いたらしく、そんな顔をしてこう言った。
「うちの家に捨てる予定の週刊誌が相当数ある。それを床に敷いて更にその上に段ボールを敷くというのはどうだ。段ボールと週刊誌、段ボールの三重構造だ」
やはり持つべきものは頼りになる友人だ。
少年は友人の提案を受け入れ、数時間かけて床の補強を行った。確かに寝心地は劇的に改善された。これなら快適だ。
作業が終わり友人は家路についた。
帰る家と家庭をもつ友人を羨ましいと思いつつ、少年はシェルター内で懐中電灯を頼りに菓子パンをかじっていた。
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