第6話 塀の中

叔父は「職員の指示に従うんだ。近いうちに面会に来る」と言い残し帰っていった。

少年は職員の指示に従い施設内の職員室へ案内された。

施設の概要と今後について児童相談所の職員から淡々と説明を受けた。

以下の通りだ。


・児童相談所に併設されている一時保護所に少年の処遇が決定するまで保護する。


・一時保護所の職員は先生と呼ぶ事。


・施設内には下着とジャージ以外は一切持ち込みが出来ないという事。


・一時保護中、面会に来れるのは教師又は親族のみという事。


・一時保護中は私用での外出が禁じられている事。


・一時保護中は学校へ登校は出来ないが出席扱いにはなるという事。


・同じ所内にいる児童には保護理由を聴いてはいけない事


・退所後に保護児童同士で連絡を取り合うのは禁止という事。


まるで刑務所のような厳しい規律の施設だなと少年は肩を落とした。

彼には心中を整理する時間も自己憐憫に浸る余裕も与えられなかった。


一時保護所もといここからは通称、一保と呼称する事にする。

一保は混合処遇といって非行少年から虐待被害者まで様々な都合で行き場をなくした人間が集まる場所だ。

その為、生活スケジュールは以下のように完全管理されている。


6:30起床


6:45ラジオ体操


7:00施設内清掃


7:30朝食


8:00洗濯


8:30休憩


9:00学習(施設内の学習室でドリルやプリントで自習)


12:00昼食


13:00作業(施設内の草むしりや体力錬成 等)


15:00加給食(おやつ)


15:30掃除


16:00洗濯


16:30休憩


17:30夕食


18:00日報作成


18:30自由時間


22:00消灯


三食+おやつまで保証されているのは少年にとって非常に恵まれている。

しかし所内は大部屋だ。プライバシーといえば衣類をしまう小さなロッカーのみ、それさえも鍵などはついておらず、職員もとい先生が無断で中を検める事は正式に認められている。

その上、テレビが使用できる時間が17:00~22:00までという事やインターネットが使用できないので外部情報を知る術がないことも更に閉塞感を感じさせる。


一保とは完全隔離型の管理施設だ。それはまるで陸の孤島を思わせた。

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