(記録)影と灯
光・影・灯・闇。
この世の中を表と裏に分け、さらに光を浴びるかどうかで分類してみると、
この4つに分類されるだろう。
表の世界で、政治や私企業などでスポットライトを浴びるのが、光。
表の世界で、光となる存在を支え社会を維持してているのが、影。
裏の世界で、軍需産業やヤクザの上層部など脚光を浴びて映えある存在が、灯。
裏の世界で、一切の光を避けさらに裏側へまわるのが、闇。
私は影で、その子は灯だった。
と言っても、2人ともぜんぜん、たいしたことはなく、レベルが低いと断言してよい。
私の夢は、社会問題を俯瞰的に整理し、研究を評価することだ。
…が、そんなことができれば、いくらでも利用価値があるわけで、
そうもいかないから社会活動や個人研究として試行錯誤し、
相手の要望に応えることでしか社会の役には立たないから影という存在となり、
人間関係が面倒に感じるようになって、単に人の仕事を手伝うことでしか生計をたてられなかった。
という程度のレベルだ。
この夢のおかげか、私の人間性か、
あちこちの人に出会い、無茶振りをされたり、監視対象になったりと、
「やりたいことは何かはわからないけど、とりあえず仲良くしておこう」とか、「危険分子だ」とか考える人がいて、
面倒だから孤立するようになった。
影に徹するというよりかは、ただ、目立ちたくないだけだったりする。
その子はNo.1だけど、月4万しか稼げないときがあったような破天荒な運勢で、
遅刻などのペナルティーや持逃げなどで稼いだお金を失ったり、
お客さんやボーイに襲われそうになって店を逃げて転々としたり、
キャバ嬢以外はどこへ行ってもクビになったり、
仕事先が摘発されて倒産したりして帰ってくる。
客からお金を巻き上げて遊び暮らした日々は、もう、過去の話だ。
組長が1億出して求婚するとか、
原因不明の奇病に犯されるとか、
弁護士が奥の手を用意してくるとか…
ここには書かないが、
彼女の身の回りには、少なくとも2件の殺人事件が起きていて、
暴力、強盗、麻薬、身分詐称、ハッキング、未成年売春などなど、犯罪のオンパレードだった。
社会問題や裏社会について知りたいと思う私にとって、
彼女はとても面白い存在だったのだが、
強迫性障害や腸に関する原因不明の病などで、
子宮は半分潰れ、免疫は常に低くて風邪ばかりひくこの子を、
ただ、今は、もう少し平穏に生きてほしいと願うばかりだ。
結局、安全で助けてくれる場所は、私の側だけだったのだろう。
影と灯。
それが、私と彼女との関係だったが、
私は生涯、影でありたくないし、彼女は灯ではなくなった。
それでも、なんとなく、私にはわかるのだ。
彼女が復活して、私の下で働いたとしても、私は影で、彼女は灯なんだと。
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