3月14日 記入: 糸

 最近はめっきり客入りが減ってしまいました。

 もしもこのページを見ているお客様が居れば、お持ちの携帯から拡散していただけるとありがたいです。

 どうか宜しくお願いします。


          *


「ねえ糸、この頁どう言うことさ」

 味の感想を書こうとして、私は思わず手を止めた。

「ああそれですか?」

「そうだよ。だけの客入りでも稼いでるじゃないか」

 言うと、糸が口を開くより前に頭を叩かれた。

「痛っ」

鉄穴かんなこそ何を言っているのよ」

四月一日わたぬきこそ毎回酷い!」

 叩かれた後頭部を押さえながら睨むと、実に残念そうな溜め息を吐かれる。

「いい? 今は彼岸だから、私達以外の客入りも多い。お判り?」

 その先を糸が紡ぐ。

「そうですね。境界線が緩くなる今、一般のお客様で稼いでる所もありますから。……お待たせしました。ぬる燗と、鰆の串焼です」

 カウンター越しに差し出された肴を、ちびちびと味わいながら話を続けた。

「あー……成る程ねえ……」

「それこそ最近では、コロナ型新細胞とかで誰もお出でになりませんがね」

「待って」

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