2月22日 記入: 糸

 猫の日と聞いたので、今日、一日猫の姿を模してみる。


          *


「糸さんって猫だったんですか!?」

 食いついた小鳥遊たかなしさんが、興味津々に私の顔を覗き込む。

 私は今、頭部から猫耳が生え、猫の長い尾が生えている。

 これが中々に評判が良い。

 主に、一般の女性客から。

 ここは比較的境界線が緩い為、普段のヒトも入り込める。

「小鳥遊、こいつは影を形成させてるだけだ」

「そうなんですか? 馬鹿ましかさん」

 そしてこの馬鹿野郎は、早々に夢を壊す様な真似をした。

「……馬鹿ましかさん?」

 怒気を孕んだ声で、あくまでも落ち着き払い、一言の圧をかける。

「良いじゃねえか。こいつも色々知ってなきゃ、こっちでまた変な目に会っても知らねえぞ」

 確かにそれも一理あるが、短い子供時代には夢を見せて欲しい。

 しかし小鳥遊たかなしさんは、そんな事も気にしていないらしく、猫型にこしらえたオムライスを食べている。

 責めて今日一日だけは。

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