/ヤ/イ/バ/
時雨哀流
day1
「道に落ちている缶を蹴りながら、スマホに流れてきたニュースを見た。
そこに書かれていたのはこんなニュース。
『今日未明、東町の空き家で、女子大生と見られる死体が発見されました。
肩に噛まれたあとのようなものがあり、警視庁は最近よく発生している『吸血鬼事件』の疑いとみて調査を続けています』
『吸血鬼事件』というのは最近よく起こる事件で、死体に5センチほどの深さで噛まれたような後があり、それが吸血鬼の歯の跡ように見えるからそう呼ばれているらしい。
どうやら犯人は女子大生を好んで襲っているらしく、俺が通っている大学の女子達も最近は安全のためあまり来ていない。
しかも襲う前に相手を拘束して、その前に襲った人のことと、今襲う相手のことを話す。
そして最近の自分の話も。厄介なやつだろ?
ちなみに今回襲われた女子大生は黒髪で大人しそうな子だ。
あまり目立つような感じはしないがよく神社に来るだろ?
なんかムカムカするんだよな。見てて。気持ちの悪い。
「へぇ今回は見つかるの早かったな」
そう呟きながら、夜道を歩く。
「ただいま」
古びたアパートの2階のドアを開けると、カレーの美味しそうな匂いが鼻をついた。
「おかえリ。今日は遅かったネ?」
そう言って玄関に顔を出してきたのは、赤くて長い髪がよく似合い、着物を着た僕の恋人。
名前は暗 刃(はらい やいば)。神社の息子だ。
まぁ男だからゲイカップルなんだけど。
俺は口の前に手をかざし、「レポートを終わらせてきたからね」と言いながらそそくさと台所に行って口をゆすいだ。
「カレー、出来てるヨ。」
そう言いながら刃はリビングに行った。
その後を追うようにして俺もリビングに向かう。
そして鳴った、携帯の着信音。
それは俺のでは無く、刃のだった。
刃が携帯を見る前に、俺が携帯を見た。
「ちょっト!勝手にいじるなヨ!」
抗議する刃をよそに、俺は送られてきた写真を見る。
「またこの子?ねぇいつまで遊ぶつもりなの?」
「これはこの前ご飯に行った時の写真だヨ。これが終わったらメールもしないからサ!」
そう言って刃は俺が持っていた携帯を奪う。
「なぁんかお似合いだったねぇ?もしかして浮気?なんで2人でご飯行ってんのさ!」
「誘われたんだヨ!この子、よく僕の神社にお賽銭入れてくれるから、少しでものお礼と思っテ、、、、」
下を向きながらもごもごと喋る姿が可愛くて、つい許いそうになる。
でもダメだ。刃は俺のモノなんだから、他者に指一本触れさせたくない。
「それに僕は君しかいないから、、、、」
刃は顔を赤くして言った。
あれ、いいこと言ってくれるじゃん。理性吹っ飛ぶよ? じゃあ刃はもう、、、、
「俺のモノだ、、、、」
「え?」
首を傾げる刃の手を取って、闇の中に入った。
着いたのは人気のない路地裏。
そこに刃を座らす。
そして俺はどこからか取り出したガムテープで刃の両手を縛った。」
⁀↘‿↗⁀↘‿↗⁀↘‿↗⁀↘‿↗⁀↘‿↗⁀↘‿↗⁀↘‿↗⁀↘‿↗⁀↘‿↗⁀↘‿↗⁀↘‿↗⁀↘‿↗⁀↘‿↗⁀↘‿
「って感じかな!」
俺はナイフのような歯を出して笑った。
「、、、、え?」
訳が分からないとでも言うかのように刃は情けない声を出した。
「なぁに?わかんない?最近起きてる吸血鬼事件、犯人俺なんだよね〜。
あ、全部刃のためにやったんだよ?」
「え?なんで?、、、、
それに、、、、どういう、、、、こト?、、、、
僕の、、、、為、、、、?」
あはは、怯えている姿も可愛いなあ。
「ん〜?だって刃、もう会わないでねって言った人とまだあってたからさ。
縁を切れないんだ〜って思って片っ端から全員殺したんだよ。この歯で!」
と言ってニッッ!と笑う。
「見て、、、、たノ?」
「あぁそうだよ?俺から逃げられないとでも思った?可哀想に笑」
「、、、、っ!」
「それで今日この歯で殺されるのは刃だよ!そうしたら刃は一生僕のモノになる!」
あははっ!と笑って刃の方を見た。
穏やかな目で見つめていた。
「いいよ、、、、君が望むなら僕はなんだってすル、、、、」
予想してない言葉が帰ってきた。
そうか、、、、俺は刃の中でとても大きな存在になっていたんだな!嬉しいよ!
俺は刃の肩の前に頭を近づけた。
口を開けた時に刃が言った「やめっっ、、、、」と言う言葉を俺は無視した。
オイシイ
身長172cm
体重56kg
綺麗で長めの髪をなびかせ
黒色の眼をして
いつも書生のような格好をしている彼
手足は長く
歩く姿は美しい
紅葉して落ちたもみじの葉をほうき退かしている時も
疲れてあくびをしている時も
参拝客と接している時も
笑っている時も
俺を見て手を振る時も
俺に脅えている時も
全て
全て
全て
全て
全てが
愛おしい
そんなことを考えながら『寝ている』彼の頭を撫でて静かに笑う
/ヤ/イ/バ/ 時雨哀流 @sigureairu1140
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