第55話(7話)朝日が昇る前に


...山の道沿いに立つ寺...


鬼が廃墟と化したお寺から逃げようと必死に走りだした。



それを追うかのように政も走り出す。



山道を抜けるとそこには狭いみちがあった。

進むとそこは断崖絶壁だった。





「ちっ、逃げ場がないか。仕方ないかけに出るしかない。」


鬼が左右にひっかく攻撃を繰り出した。



それに対してただひたすら両腕を顔の前で交差させ必死に攻撃を防いだ。



そうしていると朝日が昇っていくのが見えた。



朝日が昇る前に鬼を倒さなければならない。そう思ったのと同時に右腕の炎が左腕へと流れていく。



まるで酸素が体中を巡るように流れていく。



「般若真拳 炎舞 法(ダルマ)」



鬼が攻撃をする瞬間を狙い左拳で鬼の腹に一撃を与えた。



と同時に朝日が昇る中一撃をこめた炎の拳で鬼が溶けて消えた。




もと来た道を戻りお寺の本堂のお坊さんの亡きがらをお寺の敷地内の地面に埋めた。


埋めた墓石すらない墓の前で合掌した。


合掌中にふと不思議な小鳥のさえずりが聞こえた。



そして静かに立ち上がりそのまま次なる場所へ向かっていった。





...上海 江戸行きの船...



嫌な臭いが船に充満している。


その充満している場所を覗くとそこには人間とは思えない三体の鬼がいた。




「さぁ、楽しませてくれそうな人間はいるか?どう思う?呂蘭」


「...」


「あわてなさんなって政皇」


人間の頭蓋骨を持ったまま政皇が言った。


「楽しみだな。江戸幕府とやらは」


そう呟きながら江戸に向けて舵をとっていた。


続く

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る