第3話 協会-3

一方その頃、協会支部の客間ではラルフとリリィが優雅にお茶を啜っていた。

テーブルに用意されたお茶菓子をポリポリと食べながらラルフが呟く・。


「シャルロッテって言う人遅いね」

「きっと私たちの事忘れてるんだと思うわ

「そんなに忘れっぽい人なの?」

「と、言うより天然なのよ」


などと呑気に会話していると、不意に客間の扉が開いて、白い装束を身に着けた青年が突然声を張り上げる。


「シャルロッテ様のおなぁりぃ」


随分仰々しい登場の仕方だなぁとラルフが思っていると、シャルロッテが慌てて青年の口を塞ぐ。


「それは恥ずかしいから止めてって言ってるでしょ」


(あっ、やっぱり恥ずかしいんだ)


ラルフは二人のやり取りを見ながらお茶を一口飲んだ。


「待たせてごめんなさい。私も色々忙しくて。べ、別に貴方たちの事忘れてた訳じゃないのよ」


(これは絶対忘れてたな)


ラルフは心の中でぼんやりと思った。

シャルロッテは青年を客間から引かせると、

改めてラルフを振り返った。


「初めまして、オッドアイの少年。私の名はシャルロッテ。一応この退魔師協会『ヴァイス・レーヴェ』の代表を務めさせても貰っています。貴女のお名前は?」

「あの、えっと。ラルフです」

「ラルフと呼ばせてもらってもいいかしら」

「あっ、はいどうぞ」

「ところでラルフは退魔師協会について詳しくご存じかしら?」

「いいえ全く」

「それなら詳しくお話しましょう。退魔師協会は強い法力や神王王力を集めて善良なる人々を悪魔や魔獣、また時には悪魔的存在となった人間を祓ったり、封印したりする事を目的とした組織です。」

「はあ、成程」

「ラルフは法力と神力の違いについてはご存じかしら?」

「あ、それも分からないです」

「法力は人間がある程度生まれた時から持っている物、神力は選ばれた人間が儀式によって神王から授かるものです。基本的に力の強さは法力より神王力の方が上になります。アルベルトと戦ったライナーは強い神王力を授かっている協会のエースなのよ?」

「はあ、そうなんですね」


シャルロッテがこの部屋入ってきてからラルフは上の空だった。

それは気になる事が一つあったからだ。

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