第3話 協会 -1
激しい雨の降るくらい路地裏で一人の少女が震えながら蹲っていた。
「兄さまが封印されたなんてそんな。私はどうしたら」
少女は震える体を赤いレンガ造りの壁に預けた。
「私ももうすぐ死ぬのかしら。」
悪魔は、魔力が無くなると死んでしまう。
一人で魔力を回収できない半端者の少女は今まで魔力を分けてくれていた兄を失い途方に暮れていた。
その時、少女の目の前に青く光る石が揺らめいた。
それと同時に透き通った声が少女の耳に聞こえてくる。
「貴女は生きていたい?それともこのまま枯れ木の様に朽ち果てたいのかしら?」
白いドレスをきた天使が少女に問いかけた。
「私は」
少女は深呼吸をして天使の問いに答える
「まだ生きていたい。だってそうすればまた兄さまに会えるかも知れないもの」
そうすると天使はにっこりと笑う。
「ならばこの石を手に取りなさい。そうすれば、いつか貴女の願いを叶えてあげる。」
少女は躊躇いながら天使の差し出した石を手に取った。
少女が石を手に取ると、それは眩く輝きだし妖しく揺らめいて、少女は思わず目を瞑った。
それと同時に少女は全身に力が巡って行くのを感じていた。
急に体が熱くなり、ラルフは目を覚ました。
目の前には絢爛豪華な飾りのついた天井が広がっている。
「目が覚めた?」
大きなソファに寝かされたラルフにリリィが声を掛ける。
「ここは一体。俺はどうしたんだっけ?」
慎重に体を起こしながら、ラルフはリリィに尋ねる。
「ここは協会支部の客間よ。貴方はこの建物の入り口に着いた途端、疲労で倒れてしまったの」
「君はどうしてここに?」
「シャルロッテ様が来るまで貴方を見張っているようにと言われたから。」
「君はシャルロッテと言う人と契約してるの?」
「いいえ、違うわ。ただ協定を結んでいるだけ。それでも兄さまは私を軽蔑しているのでしょうね。」
リリィはそう言ってしくしくと泣き始めた。
「大丈夫だよ。俺には詳しく分からないけど、自分の妹をそう簡単に軽蔑したりしないって」
ラルフはたどたどしくリリィを慰める。
「それよりその協定というのは何なの?」
「詳しい話はシャルロッテ様から聞けるとおもうわ」
「そのシャルロッテは今どこにいるの?」
「多分兄さまが捕らえられている部屋じゃないかしら」
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