第8話 FHチルドレン『ブラッドクラッシャー』
『壊すことは楽しい。痛いのは楽しい。もっと壊させてくれるかな。』
私は壊すことが楽しいのです。
私が腕を振ったらカエルが潰れたみたいになるのが楽しいのです。武器を持って壊すのもいいですが、扱いずらかったり動きづらかったりするので素手の方が楽です。そして、素手のほうがたくさん楽しめるのです。潰したり、引っ張ったり、裂いたり、えぐったり、引っ掻いたり、絞ったり、元は何だったのか分からなくなるほどに壊すと満足します。
私はお父さんによく殴られてました。お母さんはご飯をくれませんでした。たまに知らない人が来て私を連れて行こうとしましたが、その時だけ優しいお母さんでした。お父さんはお外が真っ暗になったときだけ私の所に来ました。
お母さんは私の事を見るととても怖い顔をしました。お願い事をすると顔を叩かれました。私のお話を聞いてくれませんでした。お腹が空いて部屋の中を探しても食べられそうなものはありませんでした。寒い日には部屋に散らかっている服を持ってきて着ました。たまにお母さんの服を着てしまってすごく怒られました。
お父さんは良く分からないことを言って私を殴っていました。私が痛くて泣くとうるさいと言って私の上に乗って更に殴りました。口の中に血の味がしました。お父さんはお母さんよりも分かりませんでした。ずっと殴って来るので私は悪いことをしているのかと思いました。けども、何が悪いことなのか分かりませんでした。教えてもらおうとお願いしようとしたら殴られて言えませんでした。
私のお家には小さな窓がありました。そこからお外を見たら私と同じくらいの背の高さの男の子が笑って走っていました。少し離れたところには同じように笑っている男の人と女の人がいました。とっても幸せそうでした。私もあんな風に笑ったらいいのかなと思いました。そうすればお母さんも怖い顔をしなくなって笑ってくれると、お父さんも笑って頭を撫でてくれるとそう思いました。私はまず、お母さんの所に行って笑いました。
お母さんはびっくりしていました。私はお母さんも笑ってと言いました。お母さんは私を叩きました。なんて不気味な顔なのと言いました。私の笑った顔はそんなにも下手だったのかと思いました。お母さんは刃物を持ってきました。お母さんは怯えた顔をしていました。私に刃物を向けてこの化け物と言いました。化け物って何でしょう。私は初めて言われたので意味が分かりませんでした。お母さんは私を刃物で刺しました。
その後にお父さんが来ました。お父さんもびっくりしてました。血まみれのお部屋を見て転んでいました。私はお父さんに近寄って笑ってもらおうと笑いました。お父さんも笑ってと言いました。お父さんは泣き出してしまいました。何で笑ってくれないのだろうと困ってしまいました。もしかして、お腹に刺さっている刃物が怖いのかなと思いました。私はえいっとお腹から刃物を抜いて部屋の奥に投げました。もう怖くないよねと聞きました。お父さんはまだ泣いてました。歯がガタガタと震えていました。
私は刃物で刺されて一度動かなくなりました。お母さんはお腹に刺したまま私から離れようとしましたが、私はお母さんの服を掴んで離れないようにしました。私はお母さんの手を掴んで引っ張りました。肩からゴキッと音がしました。お母さんは隣に倒れました。私はお母さんの上に乗って顔に向かって殴りました。私は刃物で人を刺すことがいけない事だと知っていたので、お母さんを叱りました。私はこうして反省したので、お母さんも反省しれくれると思いました。ですが、すぐにお母さんは動かなくなりました。お母さんの顔が潰れてしまいました。お部屋は血が飛び散っていました。
お父さんはそれを見て怖がったのかな。それとも私を見て怖がったのかな。どちらにしても、お父さんも殴りました。刃物で刺された人を助けないとだめだという事を知っていたので助けてくれなかったお父さんを殴って反省させました。逃げようとしたのでまずは足を掴んで引っ張りました。お父さんの体はとっても重いはずなのにその時は軽く感じました。片手でお母さんの所まで引っ張ってこれました。その後は逃げられないように足を力いっぱい握りました。すごい音をたてて足が取れました。お父さんは大きな声で叫んでました。うるさかったので頭を殴りました。お父さんはうるさいと言って私を殴っていたのでそうしました。ゴキッとした音が鳴って、真っ赤な血が飛んできました。お父さんは動かなくなりました。お部屋は静かになりました。
その後、知らない人が来て私はお父さんとお母さんに行ってきますと言ってお家から出て行きました。知らない人は私を病院に連れて行こうとしました。病院って何でしょう。私は分からなかったので知らない人に聞きました。知らない人はびっくりししてました。その後にもう一人の知らない人が来て周りの空気が変わった気がしました。無意識に私は笑顔になってました。私をお家から連れて来た知らない人は倒れてしまいました。もう一人の知らない人は私の事をジャームと言いました。ジャームって何ですかと聞きました。化け物だよと答えてくれました。私は嬉しくなりました。初めて答えが返ってきたのです。いっぱいその人と遊びました。
どれくらい時間が過ぎたのか分からないときに真っ黒な布に灰色の仮面をつけた人に会いました。私の隣にはさっきの人がぐちゃぐちゃになっていました。それを見て驚きもせず、私に一緒に来ますかと言いました。私はどこに行くのと聞きました。仮面の人は生きやすい場所ですよと言いました。私は付いていく事にしました。私のお家にはもう帰りたくありませんでした。もうお父さんとお母さんは遊んでくれないのです。笑ってくれないのです。おしゃべりしてくれないのです。
仮面の人に付いて行くと大きな犬がいました。犬は喋りました。私はびっくりしました。犬は私に名前を聞きました。私は分からないと言いました。名前なんて呼ばれた記憶がありませんでした。犬は私としばらくお話しした後、お願い事をいくらでも聞いてあげようと言いました。私はとっても嬉しかったのです。初めて私のお話を全部聞いてくれたのです。分からないことも教えてくれたのです。私は犬が大好きになりました。犬の言うことは聞くようにしました。お願い事『契約』を犬としました。
お願い事『契約』で得たのはある程度の知識。言うこと『代償』は破壊衝動の暴走でした。私には分からないとこがいっぱいだったのでいっぱい知ることができるようにしてもらいました。けども、遊ぶときにすごく壊したくなりました。私は訓練で1人で5人と遊んで、全員瀕死にしてしまいました。危なくぐちゃぐちゃに壊してしまうところでした。
私は今のお家が好きです。犬が大好きです。仮面の人も大好きです。みんな私のお話を聞いて答えてくれるからです。私はとっても幸せです。けども、お外に出るとみんな私の事を化け物と、ジャームと言うんです。私はそんな名前じゃないです。私だけの名前を犬からもらったのです。その名前は私のお気に入りです。
お外『表』に出れば私は楽しく遊びます。でもすぐにみんな壊れちゃうので長く遊べる人を探しています。そんなことから名付けられたのは『ブラッドクラッシャー』。
またの名前を『赤ずきん』です。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます