第5話 長女の彼氏

ジャスティンが玄関の近くでソワソワ落ち着かない。


「パパ! お姉ちゃんなら、もうすぐ帰ってくるから」

次女の言葉が右から左だ。


玄関の外で話し声がする!


「マリア! おかえり!」

背伸びして小さな身体でドアを開けると、別れを惜しむ長女と彼氏。固まるジャスティン。


「パ、パパ。ただいま、彼はウィル。送ってくれたの」

「は、はじめまして! ウィリアムです」

焦るマリアとウィル。


「パパ?」


きゅっと両手でマリアの手を握る。

「マリア…。もうしばらく、パパの天使でいて欲しいと思うのはパパの我儘だと分かっているよ」


穏やかに話しながらポロポロと涙をこぼす。

「……寂しい……ひっく」

「パパ…」


「ぼ、僕は真剣です! これからも節度を保っておちゅき合いしたいと思っていましゅ!」

「ウィル!」

マリアが嬉しそうだ。


「…マリアが幸せなら僕も幸せだよ。ウィル、これからもよろしくね」


目に涙を浮かべた美少年のお願いに真っ赤になってうなずいた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る