第4話 身体に感情が引きずられて

「心配をかけてすまない。報道されている通り見た目以外は問題ない。また、感染するものでもないので安心して欲しい。今日から通常通り執務に励むよ」


閣僚やスタッフを集めて不安を感じないよう伝えて通常通り、執務を進めた。

── 記憶も頭脳も問題ない。良かった。



「首相!」

秘書のチャーリーだ。


「なんだね?」

「本当に見た目以外はいつも通りの首相だって認識が末端まで広がったようです。報道発表からずっとザワザワしていた雰囲気も落ち着きましたよ」

「発表から1週間か…チャーリー達のおかげだよ。ありがとう」


「いいえ。あとは治療法だけですね。こちらが焦っても仕方ないので、どっしりと構えていましょう。特に問題も無いですし」

「うむ、そうだな」



── 問題はあった。


国会でライバル政党の党首が病気についてネチネチと攻撃してきたのだ。

このネチネチ党首は能力は高いが、もともとその嫌味ぶりで国民から嫌われていた。そのネチネチ党首がネチネチぶりを最大限に発揮する形でネチネチと攻撃してきたのだ。


いつものことだ…と1つずつ冷静に対応していたが、あまりのしつこさにポロリと涙がこぼれた。


「っく…意地悪でしゅ……。私は小さくなってからも、以前と変わりなく執務しちゅむを遂行できているのに…エディーの言っていることは言いがかりでしゅ…ひっく」


── 国会答弁で泣いた。



国会は通常通りテレビ中継されており、今期の国会はジャスティンが小さくなって初めての国会ということもあり驚異的な視聴率を記録していた。


見た目以外は問題無いことを中継を通して国民に知らせると同時に頑張る美少年ぶりが国民の心を鷲掴みにしていた。

そこにネチネチ。


── エディー党首は国民を敵に回した。


党首や政党のSNSには世界中から抗議や非難のコメントが寄せられ、その日のうちにエディーは党首を降りた。次の選挙での当選は厳しいだろう。



「恥ずかしい……」


翌日の新聞にはジャスティンの泣き顔が掲載され、『執務しちゅむ能力に問題なし』という見出しが踊った。


精神が肉体年齢に引きずられる可能性や、そのデメリットについて書く新聞もあったが、エディーのネチネチのおかげで、そこを問題にしてジャスティンを問いただす論調にはならなかった。


ちびっ子首相の支持率が大幅にアップした。

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