第2話 おわかりいただけたであろうか
おじーさんは川に戻ると、砂金の入った袋や道具を背負い、まだ目を覚まさない少年を引きずりながら帰りました。
「おもいのぅ…」
時々、休憩をはさみました。
そのたび、おじーさんのキセルからはぷかりと煙が立ちのぼりました。
「あれまぁ。ほぅほぅ…くふふふふ」
ばーさんはすっかりこの少年の顔に惚れ込んでしまい、かいがいしく看病を始めました。
「ワシには一度もそんなことしたこと無いくせに」
「なんか言ったかい?」
「いんやべつに」
おばーさんの背中がかげろうのようにユラリと揺れるような錯覚に思わず目を疑い、手でゴシゴシとこすった。
それから3日後。
少年は目を覚ましました。
そこにはのぞき込むように見ている女の子がいました。
「おじぃーちゃーん、目を覚ましたよー」
元気な女の子の声が遠くまで届く。
「ほんとか?ばーさん!」
タッタッタッタと外を走ってくる音がわかる。
少年「…」
少年は上半身を起こしながら、周りを見ました。
部屋の戸がバン!と開いて男の子が変なポーズで立っていました。
少年からの視線がキタと分かると男の子が動き出した。
「よぅ!お前は誰なんだい?ヘイ!どこから来たんだい?Oh!白湯飲むかい?HA!腹はへってるかい?イェイ!トイレに行きたいかい?ハッ!言葉は通じるかい?オオオ、オレオレ、オレは見えるかい?」
矢継ぎ早にDJ風な質問を男の子はくるくる踊りながら、少年の方に近づき、顔の正面30cmの所で止まりました。
しかし、反応があまりありません。
ゴ スパーン
女の子は男の子の頭を思いっきりゲンコツで殴りました。
するとどうでしょう?
少年は言葉をしゃべったではありませんか。
「はははは!」
「ファーストコンタクトは成功した!」
男の子は笑う少年を見ながら小さくガッツポーズをしました。
「いたい」
男の子は頭をさすりながら立ち上がると、ベッドの横にいきました。
少年の背中をバシバシ叩いたのち、ニッコリする男の子。
二発目をくらわす女の子。
またしゃがみ込む男の子。
女の子は男の子を一瞥した後、少年の方を見ました。
「あとはまかせな!」
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