第11話 魔宝石
クレインはこの国の第3王子でクレイン・フォン・アースランド、ノアは彼の親衛隊でノア・レイダス、公爵家次男だった。
ギルドで依頼を受けた(拒否権はなかった)僕は、そのまま馬車に乗せられて城にあるクレインの研究室に連れてこられた。客間を与えられ、連れてこられてから一週間が過ぎたが、未だに解放してもらえず軟禁状態が続いている。
「もう、むりぃ‥‥‥」
疲労困憊でふらふらとユーリは床に蹲った。この一週間、朝昼夕の食事と寝る時以外、休憩なしでクズ石を加工している。ユーリは今まで生きてきたなかで、ここまで働いたことは一度たりとなく、一生分の労働をした気分である。
まったく人使いが荒すぎなんだよ、殺す気かって言いたくなる‥‥‥‥とても恐くて言えないけどな
クレインは一見優しそうな優男だが強引で鬼畜だ。
彼は『クズ石を有効に活用するにはどうしたら良いか』という研究をしていてる。本来クズ石は脆くて加工には耐えられない、それをユーリは加工して装飾品にしていたようで、クレインの研究対象にされてしまった。
はぁ‥‥‥クズ石拾った当時の僕に止めるよういってやりたいよ
大きなため息をついて蹲っていると、頭上からクレインの声が聞こえてきた。
「おかしいですね、どうやってもユーリ以外には加工できない、それに加工されたクズ石は魔宝石に変化している」
クレインは手に持っている加工されたクズ石を鑑定して首を捻っている。ユーリ以外にも何人かの職人にクズ石の加工をさせてみたが、誰一人として成功しなかったのだ。
魔宝石は魔力を内包した石で、採掘で得ることができるが数が少なく貴重品だ。一方クズ石はアースランドでは採掘時によく出てくる不用品で国のあちこちにゴロゴロと転がっている。クズ石を加工して有効に使えるようになれば、間違いなく国は潤うだろう。
クレインは暫くブツブツと何か言っていたが、何か思いついたのか、急に僕の方を向くと帰っていいと言ってきた。
急に帰れと言われて僕の頭に浮かんだのは、一週間帰ってないけど、泊まってた宿空いてるかなぁ‥‥‥‥という大変のんきな考えだった。
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