第6話 グラン

 確か、ここら辺だったよな‥‥‥‥ぜったい、あの石使って良い装飾品が作れると思うんだよな。


 そう思って、ユーリは昨日と同じように森での採取を終えると、クズ石を手に入れるため川を探していた。

 昨日と同じように水の匂いを辿って行くと、川辺にクズ石がいくつも転がっている。その石を拾って皮袋に入れていく。


「やっぱ、きれいだよな」


 皮袋から石をひとつ取りだして見ていると、近くでドサッっという音がきこえ、振り向くと男が剣を片手に立っていた。男の足下には斬られた飛びウサギが絶命している。


「ぼ~っとしてると危ないぞ」

「あ‥‥‥りがとう」


 突然のことで呆然として口ごもってしまった。男は気にした様子もなく跳びウサギを収納袋に入れる。


 うわぁ、収納袋だ! いいなぁ


 ユーリも欲しいと思っているが持っていない。収納袋は高価なので男は稼ぎの良い高ランクの冒険者のなのだろう。


「なにしてたんだ?」

「ああ‥‥‥これ拾ってた」


 手に持っているクズ石をみせると、男は怪訝そうな顔でユーリを見てきた。


「そんなものどうするんだ?」

「これでペンダントとかブレスレットとか作ったら、綺麗だと思わないか?」

「‥‥‥クズ石で‥‥‥!?」


 本気で言ってるのに、ますます怪訝そうな顔をされる。


「うん‥‥‥きれいだろ?」

「‥‥‥お前、職人なのか?」

「う~ん‥‥‥冒険者? かなぁ」

「‥‥‥」


 男は何か言いたそうに『じーーーー』と僕をみていたが視線を逸らすと街まで一緒に帰るかと訊いてきた。


「僕はユーリ、あんたは?」

「グランだ」


 お互い特に話す事もなく街の入り口までたどり着いたが、結局ギルドまで一緒だった。お互い依頼報告と納品を行うと、別れ際にグランから呼び止められる。


「頼みがあるんだが」

「なに?」


 グランは口ごもり言いづらそうにして、場所を変えようと言ってきた。



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