第5話 クズ石
王都は思った以上に働き口が多く、戦闘系は勿論、手伝いや採取依頼等があり、ランクによって受けられないものもあったが、それでも仕事に困ることはなかった。
おわった~、思ってたより早かったな
今日はギルドで依頼を受けて、ラッカ舞茸という珍しいキノコを探しに、王都から出てすぐの森にきていた。ラッカ舞茸はラピスの香木の根元に群生しているのだが、その香木自体が珍しく探すのが大変なのだ。
ユーリがキノコをいれた袋を肩に担いで森を抜けようと歩いていると微かに水の匂いがしてきた。
水の匂いを辿って歩くとすぐに川にでた。水の流れは穏やかで川辺には小石が散らばっている。
ユーリは水を汲もうと川へむかい、水筒に水を汲んで一口飲む。
冷たい水は喉に心地好くて美味しい。
何気なく周りを見回すと、石ころの中に変わった色の石があるのが目についた。手に取ってみると、濃淡があり、角度によってまるで違う石を見ているようだ。
きれいな石だな!‥‥‥‥なんだろ? ただの石じゃないよな?
しばらくの間、石を太陽にかざしたり、色んな角度から眺めてみた。穴が開くほど見つめた後、石から視線をはずし、辺りを見渡せば、同じような石が幾つもころがっているのが目に入り、近くに転がっている石を手に取ってみる。
これも同じだよな!?
他の石も拾って見てみるが、やはり同じものだ。
ユーリはその変わった綺麗な石を数個拾うと、皮袋にいれて持って帰ることにした。
ギルドで納品した時に、拾った石を皮袋から一つ取り出して職員に見せる。
「ねえ、これ何?」
「ああ、クズ石だよ」
「クズ石? なにそれ?」
「宝石になれなかった石、使い道のないクズ石だよ」
職員は興味もなさそうに、その石について教えてくれたが、クズ石とは酷い名前だなと石ころが可哀想になる。
クズ石ねえ、これで装飾品作ったら良いもの出来そうなのにな
そう思ったユーリは、持ち帰ったクズ石で何か作れないかと考えを巡らしながら帰路についた。
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