第201話ーーお前はモンスター
問題の今後の予定だけど、韓国国内には約15箇所ほど米軍基地があるらしいんだけど、まずはそこを取り戻すらしい。
その15箇所には韓国人が集められ、北朝鮮へとピストン輸送しているのだそうだ。なぜなら北朝鮮は侵略されたのではなく協力関係にあり、そこで兵士たちが連行された人々を監視などをして宇宙戦艦へと詰め込んでは中国の施設へと運んでいるとの事だった。
その後は科学者たちから聞き出した中国国内にある実験研究施設を全て更地に変えに行く。実験体の多くがダンジョンに既に潜って活動しているらしいのだが、それらまで虱潰しに殺しに行くのは時間的にも労力的にも面倒なので、襲ってくる実験体だけを屠るようにと命じられた。
あっ、1番最初は宇宙戦艦を取りに行くんだった。理由は俺たちのこれからの移動を楽にするためって訳ではなくて、米軍などに接収されると面倒になるって事らしい。ステルス機能が役に立つってわかったから、てっきり次元世界にあるのも使用して移動するんだと思っていたんだけど、どうやらそれは万が一もあるので危険を冒してまで乗る気はないようだ。だから移動は大鷲や、米軍基地などに残っているであろうヘリや飛行機を使用するんだってさ。
なんか俺と香織さん、召喚獣たち以外の皆さんは、当たり前のように操縦する事が出来るらしい……しかもヘリだろうが軍用飛行機だろうがなんでもOKのようだ。
すごいなって驚いていたら、逆に「あぁ……お前たちはそういえば車の運転しか出来ないんだったな」って少し驚いた顔をして言われた時の気持ちと言ったらもう……
「あぁ、あと念の為にしっかりと言っておくが横川、お前と俺たちは全く同じ人間だ」
「うむ、じゃがその悩む心は大切なものじゃ、忘れてはならんぞ」
って、優しい口調で言われたんだけど……
俺たちと全く同じってところには、少々の疑問があるんだよね。
あらゆる国の言葉を話しあらゆる乗り物を操縦出来るとか……どこの超人だよって話だと思うんですよ。あの有名な映画の007の主人公も真っ青な能力の集団と同じだと言われてもね……
まぁ気持ちは嬉しいんだけどさ。
「すまぬ、先程の言葉は間違いじゃった。1人人間ではない者がおったわ……のぉ、ボスモンスターに認められし河童の中の河童、山岡よ……ぶはははははははっ」
急に真剣な顔になって言うから何かと思ったらじいちゃん……
確かに何一つ間違った事は言ってないけど、さっきまでの俺の感動を返して!!
ってか、うどんに色々聞こうと思ってたのに、そんな雰囲気じゃなくなっちゃったじゃん。
まぁいいか……またの機会にすれば。
軽い食事と準備運動をしてから次元世界から出た俺たちは、大鷲とロンに分乗して一路北朝鮮へと向かった。ロンはもちろん大きくなってなんだけど……あれだね、龍ってのは乗るもんじゃないね。ウネウネしているから安定してなくて正直乗りにくかったよ。アニメ日本〇ばなしのオープニングに出てくるでんでん太鼓を持っている坊やはよく乗れるなって思っちゃったよ……まぁアニメの話だから当たり前なんだろうけどさ。ただあのアニメを思い出したのは俺だけじゃなかったみたいで、じいちゃんが「坊や〜♪」って歌いだしたのは笑った。
まだまだ遠くではあるけれど、ちょうど宇宙戦艦が戻ってきたようだったので、1度高高度まで上昇してから一気に急降下して、師匠とばあちゃんが宇宙戦艦へと乗り込んで奪取している間に、俺たちは事前に指示されていた士官や指揮を取っているっぽい実験体だけを無力化して行く。もちろん襲われ……銃を撃ってきたりした場合は一般兵もその限りではないけどね。
ちなみに降下と同時にロンは俺の首巻へと変わり、師匠たちの英語での指示をこっそりと通訳してくれている。詳しくはないけれど、日本語を話すと後々面倒な事になる可能性が高いからって理由のためだ。だから俺はずっと無言だったりもした……1人だけ。
韓国から連行された一般人についてだけど、俺たちは保護などは一切ノータッチだ。目的はあくまでも宇宙戦艦だったり、米軍基地や研究施設だ。無常と思われるかもしれないけれど一般人の保護は契約に入ってないので、全てを終わらせて米軍へと連絡したらアメリカの考えに任せるという形らしい。
まぁぶっちゃけこちらの手も足りないしね……例え俺が1000人に分身出来るとしても対比にならないほど人はいるし、衣食住などの世話なんて出来るほどの資材もないし。
だからどうしても助けが欲しくてだろう、戦う俺たちの足や腕に必死にまとわりついてこられても困るんだよね。酷いかもしれないけれど、あまりにも邪魔だったりした場合は少し強引に突き放したり気絶させたりもした。その様子は若干獣のような凶暴さも感じて恐怖を覚えもした……ただ生きるために必死なんだろうけどさ。だけど一瞬芥川龍之介の蜘蛛の糸の話を思い出してしまったのも事実だ。
きっと必死さ故に俺たちの誰がくみしやすいかを本能的に見分ける事が出来るんだろうね……一瞬躊躇した香織さんに人が群がって大変だった。怒号悲鳴と共に押し寄せ縋り付く姿には少々思うところがないわけではないけど、だからと言って看過できるわけもないので、香織さんの代わりに俺が排除する形となった……何も出来ないと香織さんに涙を零させたのに少し苛立ち、少々扱いが雑になったのは許して欲しいと思う。
何とか自力で米軍が助けに来るのを待っていて欲しいと思う
……まぁ全体的に心は痛んだけど、俺にはどうしようもないし、出来る事は実験体の恐怖を取り除く事だけだからね。
次元世界の存在を知られては困るので、一般人の方々には申し訳ないけれど、土壁をいくつも建てて完全に目隠しをしてから宇宙戦艦を次元世界へと収納する形となった。
この宇宙戦艦なんだけど、俺たちが得たのは戦艦って感じだったけれど、これは旧ドイツのUボートって潜水艦に似ているらしい。じいちゃんがXX1型とか何とか言っていたけれど、よく分からない。大きさは比較できないほど違い、こちらの方が数倍大きいって話だ。動かすために説明書を読んだ師匠が言うには、俺たちが得た物よりも更に隠密性を持っているらしいが、その代わりに武装が圧倒的に少ないようだ。科学者たちからの聞き取りでは、深海への潜航実験は既に済んでおり、かなりの深度まで潜れるって事なので、じいちゃんがこの件が終わったらみんなで深海旅行をしようと提案していた。
そんなに隠密性に優れているのならば、なぜ韓国ではなく直接日本に攻めて来なかったのか?って疑問が湧いたんだけど、それはやはり戦力の輸送に難があるからって事のようだ。あとは主要メンバーに日本人が多かったのも原因の1つらしい……故郷を戦場へと変える事に躊躇があったのではと。
次元世界へと宇宙戦艦を収納した後は、まずは1箇所の米軍基地を奪還し、そこに無事残っていた軍用ヘリや飛行機に分乗して残りの基地へと強襲奪還作戦へと予定通り移行した。
基地でも一般人の方の助けを求める声が大変だったけど心を鬼にして頑張った。
その後は中国全域にある研究所や実験施だ。
もしほんの少しでも資料が残っていると、また同じような研究をする輩が出てくるのは必然だ。だからまずは中で他の施設の情報などを探った後、全てを砂になるまで破壊し尽くしたあと範囲を決めての炎獄スキル発動で、もし地下に何かあったとしても問題ないほどにしまくった。
約13日後、全てが終わった事を米軍へと連絡して、帰途に着く事となった。
その際に主犯として元一全や相田くんを除いた科学者たちの死体を引き渡していたが、どこまで真実が世界に公表されるのかはわからない。
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