第36話ーー除草剤はどこに売っていますか?
あれから20日間ダンジョン漬けだった。
そう、20日間ですよっ!
なんか公式的には風邪を引いて、肺炎になって病院に運ばれたらしいです。
まぁいつもの如く、クソ忍者たちが勝手に学校に連絡したわけですけどもね。
アマとキム?
あの残念になっちゃった元親友たちは、当初の計画通りに日曜日に帰っていきました。
「お師匠さんたちの期待に添えるようになっ!」
「頑張れよっ、期待を裏切らないようにな」
とか、能天気に話して帰っていきやがった。
ま、まぁ?そこまでだったらここ最近の2人の態度からすれば当たり前だろう、許容範囲だ、予想通りの反応でもある。
「悪口ばかり言ってないで、ちゃんと感謝しながらやるんだぞ」
こんな爆弾を落としていきやがった……
能天気にもほどがあるっ!
いや、もうお花畑でいい、そのままでいいけどさっ、親友を死地に追いやるような事をするんじゃないよっ!!
そのお花毟るぞゴルァッ!
除草剤はどこにありますか?
「ほう、悪口か、興味深い」
「ふむ……やはりまだまだ修練が甘かったようだ」
「へー、どんな悪口だろうねぇ、その口を固めればいいのかねぇ?」
あれはヤバかった、マジヤバかった!
3人の背中から、まるでオーラのような揺らぎが見えた気がした。しかも全て般若のような顔をしていた……
あれで、もしアマとキムが口を滑らせて、クソ忍者・ハゲヤクザ・鬼畜治療師だとか具体的な名前を上げていたら……
きっと今頃俺は、ダンジョンの肥やしとなっていただろう事は、想像に難くない。
本当は飛び休、火曜日の夜には帰ってくる予定だったのだが、それが一気に16日間の延長が決定した。
この16日間というのも、3人の誰も俺の修練に付き添う事が出来ないのが17日目だという事だからである。もし誰かの都合がついたなら、今も日間賀島ダンジョン内で血反吐撒き散らしながら、お魚にまみれていただろう。
それと共に修練内容は尋常じゃなかった。俺はついに「もう殺して下さい」と叫んだからね……
まぁそんな切なる願いも、「殺したらそこで終わりだろう」とか恐ろしい言葉が返ってきたわけなんだけれども。
伊賀の人たちの計らいで、宿はそのまま使用出来たんだけど、ちゃんと泊まったのは数日もなかったよ……その他は夜通しの訓練だったからね。
もっと違う計らいが欲しかったよ、具体的は「ほどほどに」とか「頑張っていると思うから、優しく」とか……
まぁ優しさの基準が違うような気もしないでもないけどね、フグの時の反応を見る限り。
まずはお魚天国ダンジョン3階層で、全スキル使用は可能だったけれど、魚に混じってクソ忍者とハゲヤクザが四方八方から襲ってくる。後ろからは鬼畜治療師が状態異常魔法を常に掛けてくる。
もし傷が増えて致命傷になりかけると、回復魔法で治してはくれるのだけれど、血を流しっ放し、骨は折れっ放しで戦いを強制される。
休憩なんてない、食事さえも戦いながら隙を見て貪るしか許されないという過酷ぶりだった。
付き添い人が1人しかいない時だけは、後ろから適度に魔法なり回復薬を投げたりでの支援のみとはなるが、2人以上になれば片方が嬉嬉として襲ってくる事が続いていた。
他の2つのダンジョンは、人間サイズのタコやらイカしかいない場所と、同じく人間サイズのエビやらカニといった甲殻類オンリーの場所だった。そのどちらもが動きこそマグロのようなスピードはないもののの、水魔法を放ってくる恐ろしさを持っていた。
そんな場所でも師匠たちの行動は変わらなかった……
まぁ変わるなんて期待なんてしてなかったけどね!
イカやらタコなどは、体表面にヌメリがある上に柔らか硬いとでも言えばいいのだろうか……上手く切れない。
ご存知の通り、手だか足だかはわからないが複数持っているので中々近づけないし、魔法や墨を吐いてくるのだ。
じゃあ火球でゴリ押し出来るかと思えば、ヌメリは魔法耐性もあるらしく、思うように焼けない倒せないといった状態だった。
カニやエビは硬い殻のせいで、こちらもまた刃が通らないし、弾かれる。繰り出される爪は鋭く、岩すらも砕く力強さを持っていた。
特にカニは厄介で、本体のところにチクチクと攻撃を与え、ようやく弱ってきたと思うと口から泡を出す。それは酸性の防護膜らしく、試しに最初手裏剣を投げて見たところ、鉄製のそれを若干だが溶かしてしまうほどだった。
「刀の使い方がなってない」
って、どちらのダンジョンでも言われ、簡単に細切れにして見せられたんだけどね……
ついこの間までステータスも何もない、ただの人だった俺に同じレベルを求めないで欲しいよ……
そのせいで修行中に何本かの刀をダメにした。
刀が壊れる度に、もうこれで終わりかな?なんて甘い事を考えたけど、すぐさま渡されたよ……
ただ「無料ですか?」の確認を忘れなかったよ、俺は。
渥美の時みたいに、後から200万円奪われたりしたら嫌だからね……まぁそんなお金もないけれど。
ちなみにダンジョンボスは、シャチ&サメ、巨大イカ&タコ、なぜかスッポン……海亀ではなくスッポンだった。
なぜにスッポン……もはや海の生き物でもない不思議。師匠たちに聞いたら「ダンジョンに聞いてくれ」って、さすがに困った顔をしていた。
まぁその通り、未だダンジョンがなぜ現れたのか?仕組みはどうなっているのか?など何一つ判明していないんだからしょうがない。
こんな恐ろしく過酷で地獄のような訓練を続けていたわけだけども、1度だけ笑いに包まれ、修行が中断する事があった。
それは俺のスキルが関係する。
◆
横川一太 Age16
job―[NlNJA Lv3]
体力―AAA
魔力―AA
力 ―A
知力―BB
器用―AA
敏捷―AA
精神―AA
◆
固有スキル―火遁(Lv2)・闇遁(Lv2)・口寄せ(Lv1)・分身(Lv8)・刀剣術(Lv13)・二刀流術(Lv4)・手裏剣術(Lv7)・跳躍(Lv11)・空歩(Lv7)・壁面走破(Lv2)・毒耐性(MAX)・麻痺耐性(MAX)・石化耐性(Lv8)・睡眠魔法耐性(Lv7)・九字印術(Lv6)・鑑定阻害(Lv8)
◆
火遁(Lv2)……火球(Lv8)―火の玉を前方に8つ同時に放出できる。
……火矢(Lv2)―火の矢を前方に2つ同時に放出出来る。
闇遁(Lv2)……影潜り(Lv7)―240分間影の中に入る事ができる。対象が動いた場合は自動的に動く。他の影と重なった場合、移動出来る。
……影操身の術(Lv1)―入っている生物の影の中から、その者を操る事が出来る。15分
口寄せ(Lv1)……鼠(Lv6)―鼠を6匹魔力によって召喚できる。鼠は魔力で出来ている為に死んでも再度の召喚が可能。念話により意思疎通が可能。攻撃は不可能。存在時間は6時間。
分身(Lv8)……分身(Lv8)―魔力で出来た分身を8体作る事が可能。命令をこなす事が出来る。行動により見聞きした物や経験を共有出来る。話す事も可能。存在時間は8時間。
刀剣術(Lv13)……忍刀を扱う事が出来る。背面に2本装備可能。「抜刀」「納刀」の発動句により手に刀を装備出来る。
二刀流術(Lv4)……二刀流での行動が出来る。
手裏剣術(Lv7)……手裏剣を投げる事が出来る。
跳躍(Lv11)……身体能力+11mの高さまで跳躍距離が伸びる。
空歩(Lv7)……跳躍時に空中で7歩歩ける。
壁面歩行(Lv2)……100度の壁を床と同じように歩ける。
毒耐性(MAX)……毒に耐性がある。
麻痺耐性(MAX)……麻痺に耐性がある。
石化耐性(Lv8)……石化に耐性がある。
睡眠耐性(Lv7)……睡眠魔法に耐性がある。
九字印術(Lv6)……九字印をきる事で、集中力を高める。
……九字印をきる事で、自己治癒力を高め、傷を治す事が出来る。
鑑定阻害(Lv8)……鑑定スキル・魔法のLv8以下を阻害する。
◆
これは今のステータスだ。
めちゃくちゃ各ステータスは上がった。クソ忍者たちの思惑通りの結果となったと言えるだろう。
だが問題はそこじゃない、そんな事は些細な事になってしまっている。
原因はスキルだ。
おかしな事になっているのだ……
今言いたい事は1つだけだ。
クソーっ!!
外国人めっ!忍者に変な幻想抱きやがって!!
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