第37話――にんにんでござる?
やはり何度見てもおかしなスキルが生えている。
目を疑うようなスキルの羅列だ。
だいたいステータスチェック後半年での2Bシーカーになっちゃったのもな〜
まぁ地上での訓練よりも、ダンジョン内での訓練の方がステータスが上がりやすいというのもよくわかったけどさ……
どれだけ過酷な訓練を課せられていたのか、という事がよく分かる。
◆
横川一太 Age16
job―[NlNJA Lv3]
体力―AAA
魔力―AA
力 ―A
知力―BB
器用―AA
敏捷―AA
精神―AA
◆
固有スキル―火遁(Lv2)・闇遁(Lv2)・口寄せ(Lv1)・分身(Lv8)・刀剣術(Lv13)・二刀流術(Lv4)・手裏剣術(Lv7)・跳躍(Lv11)・空歩(Lv7)・壁面歩行(Lv2)・毒耐性(MAX)・麻痺耐性(MAX)・石化耐性(Lv8)・睡眠魔法耐性(Lv7)・九字印術(Lv6)・鑑定阻害(Lv8)
◆
火遁(Lv2)……火球(Lv8)―火の玉を前方に8つ同時に放出できる。
……火矢(Lv2)―火の矢を前方に2つ同時に放出出来る。
闇遁(Lv1)……影潜り(Lv7)―240分間影の中に入る事ができる。対象が動いた場合は自動的に動く。他の影と重なった場合、移動出来る。
……影操身の術(Lv1)―入っている生物の影の中から、その者を操る事が出来る。15分
口寄せ(Lv1)……鼠(Lv6)―鼠を6匹魔力によって召喚できる。鼠は魔力で出来ている為に死んでも再度の召喚が可能。念話により意思疎通が可能。攻撃は不可能。存在時間は6時間。
分身(Lv8)……分身(Lv8)―魔力で出来た分身を8体作る事が可能。命令をこなす事が出来る。行動により見聞きした物や経験を共有出来る。話す事も可能。存在時間は8時間。
刀剣術(Lv13)……忍刀を扱う事が出来る。背面に2本装備可能。「抜刀」「納刀」の発動句により手に刀を装備出来る。
二刀流術(Lv4)……二刀流での行動が出来る。
手裏剣術(Lv7)……手裏剣を投げる事が出来る。
跳躍(Lv11)……身体能力+11mの高さまで跳躍距離が伸びる。
空歩(Lv7)……跳躍時に空中で7歩歩ける。
壁面歩行(Lv2)……100度の壁を床と同じように歩ける。
毒耐性(MAX)……毒に耐性がある。
麻痺耐性(MAX)……麻痺に耐性がある。
石化耐性(Lv8)……石化に耐性がある。
睡眠耐性(Lv7)……睡眠魔法に耐性がある。
九字印術(Lv6)……九字印をきる事で、集中力を高める。
……九字印をきる事で、自己治癒力を高め、傷を治す事が出来る。
鑑定阻害(Lv8)……鑑定スキル・魔法のレベル8以下を阻害する。
◆
火遁の<火矢>……名前の通りに矢の形をしている。火球よりも飛ぶ速度が早く、ダメージが高いようである。だいたい火球2発分が火矢1発分に相当する。
これだけが普通のスキルだ、大して驚きもない。
他がおかしい、本当にアメコミ……ジャパニメーションNINJAらしいスキルとなっている。
<影操身の術>……ハゲヤクザの影の中から試してみたが、これが難しい。乗り移って動かすのではなく、床から本体に糸を付けて動かすといった感じだろうか……どうしてもぎこちない人形のような動きになってしまうのだ。例えば同士討ちだとか、自死へと誘うような動きはかなりの訓練を要するだろう。
何度もの練習で、ハゲヤクザの手で頭をペチペチする事は出来た、感覚はないがいい音は響いたよ……めちゃくちゃ殴られた、何してもいいって言ったのに!!
<分身>……行動により見聞きしたものや経験を共有出来る、話す事も可能。
話す事も可能とあるが、これは事前に吹き込んでおいた事を再生するだけのようだ。自身での判断で会話などは無理だった……もし出来るなら、学校に行ってもらえるのに残念である。見聞きしたものや経験を共有出来るのは、その分身が消えた時に頭の中に映像として入ってくる……痛みなどは共有しないようなので、それだけはよかったが、気持ち悪い。
ちなみに全員が同じ言葉を同時に話すようにしてみた所、どれが本体かわからないかと思ったのだが……
1発でバレた。
何度やってもバレた。
理由は明白、分身の顔が動かないのだ。無表情で喋る、無表情で動く……そりゃあバレるよね。
ちなみに経験を共有出来るという事で、これが発覚して以降、常時分身を展開しての訓練となった。
<壁面歩行>……まるで床を歩くような感覚で壁を歩ける。現在は100度だが、レベルが上がると将来的には天井も歩けるようになるのだろう……まさにNINJA!!
「映画などではよく天井からぶら下がって居るからのう」
とはハゲヤクザの言葉だが、きっとその通りになるのだろう……
<九字印術>……自己治癒力を高めて傷を治せる。
欠損は治せないが、切り傷や骨折は治せた。ただ時間がそれなりに掛かる。腰から足首までざっくりと斬られた傷を治すのに、約15分程掛かった。
そして1番の大笑いの原因であるのが、背面装備だ。
よく、漫画やアニメなどで鞘付きの刀や剣を背中でクロスさせて背負っているのを見かけるが、あれは実際には無理な装着の仕方である。短剣であれば可能だが、よっぽど腕が異常に長くないと抜けないし、仕舞うのなんて更に無理があるのだ。
その無理が可能になる仕様である。
「抜刀」この言葉を唱えれば、腕を下ろしていても、その手の中に剣が突然現れる。「納刀」と唱えれば、瞬時に背中に納まる……
周りで見ていても全くわからない仕組みで、どんな忍刀であっても背中に装備すれば、対象刀となるようだ。
例えば指をぎゅっと握りしめていても、逆に手を大きく開いた状態で「抜刀」と告げても、なぜか必ず手に握りしめている。
便利だけど、全く意味がわからない。
「ふはははははは、何だそれは!」
「くくくくくく、不思議な仕組みだ」
「あんた何でそんな事になっているんだい?」
3人には大ウケだった。
何度も抜刀と納刀を繰り返しさせられたよ……
刀剣術も跳躍術もだが、これまで他の人に発生した同名スキルはMAXは10だったらしい。いや、他の全てのスキルのMAXが10なのだ。これは毒耐性などから見てもわかるだろう、だが俺のはなぜかレベル10を越している。
どこまで伸びるのか?
伸びたらどうなってしまうのか?
跳躍術のレベルは現在11だが、もし仮に99にでもなってしまったら99mジャンプ出来るのか?である。
更に空歩を合わせたらどこまで跳べるのか。
もしそうなったら……それは既に跳躍レベルを超えている。
このようにスキルが色々おかしいのだ。
更に、jobレベルが3になっている事だが、クソ忍者たちの推測によると、スキルが生える分でレベルが上がるのではないか?との事だ。
確かに2になった時も、今回も幾つか新スキルが発生している。
と、考えると……今以上に変なスキルがこれからも発生していくのだろう事は想像に難くない。
どう考えてもソロ向き。
誰かとパーティーを組んで行動するよりも、分身しながら1人で動く方が最適と思えるスキルだ。
イヤだイヤだ……
1人で探索とか寂しすぎるじゃないか!!
えっ?寂しくなったら分身と話せばいい?
何その、最強のぼっち……
完全にヤバいやつになってしまう。
早くパーティーメンバーを探さなければ!!
秋田さん、如月先輩に紹介してくれないかな……
「あれだな、まさにアメコミ的な感じだな」
「外国人がどのように忍びに夢を抱いているか分かるな」
「そのうち語尾に「にんにん」とか「ござる」と付ける術が出てくるんじゃないかい?」
俺の焦りとか葛藤など知らん顔で、楽しそうなクソ忍者たち。
「ちょっと「にんにんでござる」と言いながら術を使ってみよ、威力が倍になるやも知れんぞ」
なるわけねぇだろっ!
だいたいそんな言葉は、アメコミじゃなくてハットリくんだけだ、古いんだよジジイ!
……なんて言える訳でもないので、やってみました。
「火遁・火矢でござるっ!にんにん」
「何も変わらんな……それと我らの歴史を愚弄されているようで腹がたつわ」
殴られた。
理不尽だ、理不尽すぎる!!
「面白い、面白いスキルだが……これはまずいな」
「ですな、1度組長たちを集めて話した方がいいかもしれんですな」
「早急に鑑定阻害も10まで上げるべきでしょう」
大笑いしていたかと思ったら、突然真面目な顔となり3人が話し始めた。
何がまずいのだろうか。
「横川、このjobは勇者に匹敵するものとなりつつある……いや、既にそれ以上か。これまで以上に他人にjobを言うなよ」
勇者……
如月先輩と同レベルって事ですか!?
もし、もし2人が組んだら最高ってフラグですよね!?
「浮かれる気持ちもわかるが冷静になれ小僧。下手をするとお主命を狙われるという事だぞ」
えっ?
命を狙われる?
どういう事ですか!?
「勇者とお主の職、合わされば日本のダンジョンの探索は一気に進む事になるだろう。下手をするとお主単独でかなりの階層まで行ける。他の国にとっては腹立たしい結果を生む可能性があるのじゃ……上手いことして拉致して働かせ、研究材料とするか。それがならんとなれば殺されてもおかしくない」
そんなマサか……
リアルチートの3人が、目の前で無事生きているのに、俺が殺されるとかないと思うんです。
「笑い事ではないぞ、身の回りに気を付けよ」
あれっ?
マジなの?
命狙われちゃうの!?
「とりあえずは自らの身を守れるように鍛えあげようか」
守ってくれればいいと思うんです……
ほら、警護とかあるじゃない?
大事な大事な稀少性の高いjobの可愛い子供を……
ぎゃあああああああああつ!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます