第7話ーーシゴキ

 予約したのは朝8時から夕方18時までをまずは3日間。


 2人は併設されている各種生産用の小部屋を覗きに行っていて、俺は的や訓練用武器が置いてある室内グラウンドにいる。


 まずは各種スキルの情報を見なきゃだ。

 ステータス表示ってのは魔力を使うらしく、初めての時は疲れるらしい。かく言う俺も昨日は帰ってから施設長さんや他の子達に無事出た事を報告した後、倒れるように寝てしまったしね。


 まずは「ステータス表示」っと。

 ◆

 横川一太 Age16

 job―[NlNJA Lv1]

 体力―E

 魔力―DD

 力 ―FFF

 知力―FFF

 器用―D

 敏捷―DDD

 精神―DD

 ◆

 固有スキル―火遁(Lv1)・闇遁(Lv1)・口寄せ(Lv1)・分身(Lv1)・刀剣術(Lv1)・手裏剣術(Lv1)・跳躍(Lv1)・毒耐性(Lv2)・麻痺耐性(Lv1)

 ◆


 出しておいて、「スキルチェック」これを言うとスキル詳細が見れるようになる。


 火遁(Lv1)……火球(Lv1)―火の玉を前方に1つ放出できる。

 闇遁(Lv1)……影潜り(Lv1)―30分間影の中に入る事ができる。対象が動いた場合は自動的に動く。中から外の様子を見聞きできるが他の行動は出来ない。

 口寄せ(Lv1)……鼠(Lv1)―鼠を1匹魔力によって召喚できる。鼠は魔力で出来ている為に死んでも再度の召喚が可能。念話により意思疎通が可能。攻撃は不可能。存在時間は1時間。

 分身(Lv1)……分身(Lv1)―魔力で出来た分身を一体作る事が可能。本体と全く同じ動きをする。存在時間は1時間

 刀剣術(Lv1)……忍刀を扱う事が出来る(60cm未満)。1本しか装備出来ない。

 手裏剣術(Lv1)……手裏剣を投げる事が出来る。

 跳躍(Lv1)……身体能力+1mの高さまで跳躍距離が伸びる。

 毒耐性(Lv2)……毒に耐性がある。

 麻痺耐性(Lv1)……麻痺に耐性がある。



 うん、分かったようで分からないようなそんな感じだ。


「スキルチェックしたか?」

「設備すげーぞ。玉鋼や各種鋼材まで無料で使っていいらしくてそこそこ置いてある。アマの方も覗いたけど、薬草各種置いてあった」


 それぞれ別れて色々チェックしていたんだけど、2人とも終わったらしくて声を掛けてきた。


「よしちょっと俺達にnewjobとやらの内容とスキル各種を教えてみろ」

「俺はまだストーカーもしくは悪辣ストーカーというnewjobを疑っている」


 なんだその悪辣ストーカーっていうのは……そんなのもうnewjobじゃなくて、完全に犯罪者じゃねえか!


「そうかそうか……悔しいんだな?」

「いや、全く。俺は安全に稼ぎたい」

「31万円は欲しいが、俺も安全1番」


 あれ?

 おかしいな……

 確かに言われてみれば、2人とも安全に大金貰えるな。

 っていかん、俺はシーカーになって如月先輩にお近付きになるんだ!


「ま、まぁその辺はいいだろう……よし、俺の全てを見てみろ!ステータス開示!スキル開示!」

「どれどれ……」

「ストーカーじゃないのか……つまらん」


 全部に目が通ったところで、現在のスキル詳細を説明すると、何故か2人は笑いだした。


「やっぱりストーカーじゃねえか!」

「ストーキング用職業がNINJAとは……」

「……」


 うん、そう言われるような気はしてた……

 影潜りとか口寄せとかそうなんだよね……

 跳躍で壁を乗り越えて、見つかりそうになったら影潜りで待機とか、鼠を送り込んで内情を探るとかさ。

 色々捗りそ……じゃなくて、便利……でもなく、暗殺者よりだと思う。


「お、お前らはどうだったんだ?」

「程々にしておけよ?「あいつがそんな事しているとは……」とかテレビインタビューとか受けたくないからな」

「うむ……コメントは一応考えてはあるが」

「捕まらないし、その頭の中にあるコメントは消去しろっ」

ではなく、って所が怖いな」

「職業に合わせた新コメントを考えておけという事だな、うむ」


 相変わらず言いたい放題だ。

 こうなったら、影潜りを練習してこいつらを実験台にして、恥ずかしいところを目撃してやる!


 この後も何だかんだ弄られたけど、まぁ、本気の悪意があったりバカにしているわけじゃないからいいや。


 2人のスキルは既存に発表されている通りに、現在出来るモノのレシピや手法が分かったらしい。ただそれはあくまでも分かるだけなので、ある程度は修行なりなんなりしないと売り物レベルのモノは出来ないらしい。


 併設されている飲食可能な休憩室に移動して、これからの時間をどう使うかって話になった。

 俺はこの機会に一通りのスキルの練習をするけど、2人は指導してくれる人を探さなきゃ意味が無い。

 一応剣道などは小中高と授業の必須科目として習っているから、ダンジョンに潜る前の練習、もしくは俺の訓練相手となってもいいなんてはなしをしていたら、休憩室の壁に設置されている電話が鳴った。


 電話から1番位置が近かったアマが受話器を取り、なんか困り顔で話していると思って見ていたら、最後には何故か頭を下げて戻ってきた。


「俺達3人の指導員を協会が寄越してくれるってさ。俺とキムの生産組2人は同じ職を持った協会が契約している人で、ヨコの戦闘訓練相手として忍者らしい」


 パッと見ここに監視カメラとかないように見えたけど、カメラと盗聴器で情報拾ってたんだよね〜タイミング的に。

 まぁどこの施設も満員となるこの季節に、優先的使用権なんて与えてくれるだけなんて虫のいい話はないよね。

 俺のスキルの細かいところは隠すとしても、2人の指導員が来るのはありがたいからいいか。


 3時間後現れたのは、世界的有名ブランドのTOP生産者でもあるレジェンドと呼ばれるウェポンマイスターと、世界に片手しかいない、欠損も全ての病をも治療できると言われる超高級ポーションであるエリクサーを作製可能な事で有名な薬師だった。

 そして俺の元に現れたのは……日本のTOPシーカーの1人である、2B級忍者だった。


 いや、うん、ありがたい、ありがたいんだけどさ……2人の指導員は世界的で、なんで俺だけ曰本のTOPシーカー……

 俺のnewjob発現での施設予約からの指導員派遣だと思うんだけどな……

 わかるよ?NINJAなんていないから忍者なんだろうし、その忍者は日本にしかいないしさ……

 でもなんか納得いかないんだけど!!



 3日間みっちりシゴかれた。

 俺の気持ちがどうやら顔に出ていたようだ……

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