第14話 禁令を司る少年1
「おはよう山里」
朝一番友也が食いぎみに話しかけてくる。
「お、おはよう……どうしたの? 」
「嫌、昨日の騒動があったから、もしかしたら来ないのかと思ったから」
「そんなわけないじゃん。ちゃんと来るよ。学校だから」
珍しく弱気な友也が零香を心配そうに詰め寄る。すぐに安心したのか、話は別の話題になる
「それなら良いんだけどさ……まあ、今日のもう1つの本題なんだけどさ。良い? 」
「うん」
「昨日、確かに精鋭科の方で通達があった。実際、精鋭科の中でこういう新人関係に対しては皆興味ないんだよね。」
「そうなんだ……以外だね。光輝くんがあんな感じだから皆そうなのかと」
「新人に対しては、ほとんどの人間は野々腹みたいに興味を示さないことが多いよ。仕事できれば誰でも良い風潮があるから」
零香は昨日の玲央を思い出す。確かに彼は零香に対しては興味なさそうだった
「そうなんだ。じゃあ、昨日みたいなことは早々無いって感じなのかな? 」
「それがそうでもないんだよね。精鋭科は現在19人。そのうちの1人が玲でしょ。恐らくこの中で後反対しそうな人間が1人いるんだ」
「1人? 私があったことあるのかな? 」
「いや、無いだろうな。書類もらってきた」
友也はポケットから小さく畳んだ書類を取り出した。零香はそれを受けとり、添付していた顔写真を見る
「こいつだよ。名前は
「……みるからに不良っぽいんだけど。」
「見た目はね。性格は俺も知らない。というのは、俺も全員参加の任務とかでしかあったことないし、能力が能力で俺も組んだこと無いからさ」
「どんな能力を持ってるの? 」
「そこの書類にも書いてある通り、能力名は”不文律”。一定の空間に適用されるルールを産み出せるんだよ。どんなルールでもだ」
「それって、無茶な要求でも通るってこと? 」
「ああ。使い方の一例しか聞けなかったけど、一定の範囲内で”能力使用厳禁”なんてルールを作り出したら能力を使ってはいけないんだよ。」
「それって……使えなくなるってこと? 」
「いや、使えなくなるのではなく、使ってはいけないんだよ。もし仮にそのルールが破られたら、罰則があるんだってよ。」
「それって、分かるものなの……? 」
「嫌、本人が明言しない限り知ることはない。能力の原理とかはよく分からないんだけど、そんな能力、もし”どちらかが死なないとこの空間からは出られない
”何て言われたら、終わりだぜ? あいつは戦闘能力も普通に高いし」
「そ、そっか……ところで、何で今日の朝早くに教えてくれたの? いつもの友也くんなら放課後にでも来てって感じなのに」
「今日は、放課後仕事なんだよ……一緒に帰ってやれないんだ。スマン! 」
「だ、大丈夫だよ! お仕事、頑張ってね! 」
「ありがとう! 本当にスマン! 」
そう言い、友也が頭を下げたそのすぐ後に用事があった光輝が来て誤解が生じる
「え……なにしてんの友也。もしかして……やっだあ友也くんったら! ふられちゃったからって逆恨みはだ、め、だ、ぞ。」
「うるせえ二階堂! そんなわけ無いだろうが! 」
「きゃー友也くんこっわーい」
目は完全に笑っているのに声と表情は完全におちょくっている。その後、朝の出欠確認のために来た月浪に止められるまで喧嘩は続く。
「お、ま、え、ら! 朝から無駄な力を使わせるな! 次やったら面倒な資料室の整理、2人でやって貰うからな! 」
「「……スミマセンデシタ」」
「わかったら、二階堂はさっさと自分の教室までもどれ! 」
「はーい」
「高瀬。お前はさっさと自分の席につく! 」
「ウィッス」
「全く……」
騒がしい朝は終わりを迎える。因みに、光輝が友也をいじるのは稀にあることなので、誰も気にすることはなかった
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