肩までつかれないアメリカのお風呂
昔映画で見た素敵な湯舟は欠陥だらけでした。
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日本が恋しい!
桜も見たい。紅葉も見たい。神社やお寺に行きたい。
和食が食べたい。お寿司を食べたい。
それよりなにより卵かけご飯が食べたい。
アメリカの卵は低温殺菌されておらず、サルモネラ菌がついている場合が多く、生で食べられない。
書き出すときりがないが、何よりも恋しいのは日本のお風呂だ。
四角くて深い日本のお風呂。肩までつかりなさいと怒られたあの形。
アメリカで驚いたことはそれはたくさんある。大体の事に慣れてきた。諦めたり笑って済ませたりしてきた。
しかしお風呂だけは譲れない。
基地の家はすべてアメリカ式だった。初めてのアメリカのお風呂。
「わあ素敵!映画で見た!足ピーンって」と言い笑われた。
ワクワクとさっそく湯舟にお湯を張る。バスバブルを入れて泡風呂にする。
「わあ映画のとおりだ!」と入る。
……ぬるい。もちろん追い炊き機能などついていない。
半分ほどお湯を捨てながらお湯を足す。
「ふう」と横になる。と言うか、泡でずるっと滑った。
両足がお湯からビョーンと出る。
足を収めようとすると肩が出る。肩どころか上半身が出る。
私は155センチしかないのに。でかいアメリカ人はどうやってこれに入るんだ?
聞いてみると上半身は沈めないという。ええ~肩までつかれ信仰の私、そんなこと認められない。
肩を何とか沈め、足も横に倒してみた。湯舟の中でどう向きを変えても体のどこかが出てる。
当時は胸がプカーンと水中から出ていた。
「なにこれ~??」
全然素敵じゃなかった。
妊娠中は一番温めたいおなかがドーンと水中に出ていた。
体を横たえて、半分ずつお腹を温めた。
うつ伏せで入ってみたこともある。もちろんお尻は丸出しだ。映画ではそんなシーンはなかった。でもきっとそうやっておなかを温めている人もいると思う。
それから洗い場がない。
最近は日本もユニットバスが増えてきたと思うけれど、先にシャワーで洗ってから湯舟にお湯を張る。しかし無駄に広いアメリカのバスルーム。待っている間に冷える。
なので湯舟に入ったままお湯を出す。この浅いお風呂がまた全然水がたまらない。
湯舟に足を投げ出して真っ裸(当たり前だが)のまま座って待つ。だんだん悲しくなってくる。
リラックスなんか全くできない。
大きいジャグジーバスも購入可能だけど高額だし、なにより洗い場がついていない。
「日本式のお風呂に改造しようよ」と夫に言った。夫も日本式のお風呂が大好きなのだ。しかし引っ越すときに変わった作りの家は売れないそうだ。
私はついに自宅のお風呂を諦めた。幸いマイナス20度の冬でも家の中は暖かいのでシャワーだけでも十分だ。でも疲れが取れるような効果はないと思う。
アメリカも良いことや便利なものもたくさんある。でもお風呂は絶対に日本の方が優秀だと思っている。
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