第5話愛の鞭

「ううううううぅ」


 そう快感の坩堝にいると縄が食い込む。そんな声を鳴らしていると、鉄パイプが軋む音がする。それと同時にヒールと靴の音がする。合計四名で僕を甚振りにきたのかと思うと、身震いがした。


「どうだい? 気持ちが高ぶった声を挙げているじゃないか。Mにとって放置プレイは快感の極みだろう。フフフフフッ、どおれ、今度は直接お前をいたぶってやろう」


 パシーンと鞭を鳴らし、恐怖感を与えるかの音がする。否、僕にはそれは快感の音だった。


「くううううううん!」

「犬の様に吠えやがって。お前はどこまでもMなんだな? 馬鹿馬鹿しい。おい、お前たち、こいつに恐怖を与えてやれ! 快感とは程遠い奴をだ。お前たち二人が何を追っていたか吐くまで続けられるぞ。ちゃんと言わないと死んでも知らないからな!?」


「ハッ!」

 命令に忠実な、男二人の声がした。


 男たちは、僕の足におもりを更に乗せたのか、太ももが重たくなった。

 一人の男が冷たい石の錘の上に手を当て、叩いている音が目の前で聞こえる。


 ググッと体重がかかる腿に、僕は悲鳴を挙げた。でも、それも全て快感の悲鳴……。


「まぁどこまで耐えられるか楽しみだな。嫌なら首を縦に振れ。それがお前の助かる道だ」


 そう促されたが、僕は首を横に降りまくった。重たさの快感が押し寄せての涙を流しながら……。


そんな僕を観ながら、鞭女は続けた。


「さぁ、吐け! お前たちはあの繁華街から港まで何を追っていた!?」

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