ご招待


「皆さん、ありがとうございました」

「この御礼に、ご家族と一緒に、明日のアフタヌーンティーにお越し願えませんか?」

 お茶会はいいとして、ヴィーナスが変なことをいいました。

 でも奥さんたちは舞い上がっていますので、気づくはずもありません。


 ダッシュでお家にGO……

「あんた!大変よ!黒の巫女様が来たのよ!」

「そんで私、明日、アフタヌーンティーに呼ばれたの!」

「どうしよう!あんたも一緒よ!」

 旦那さん、目が点になっています。


 でも、事の重大さに気づくと……

「エライことだ!服だ!俺は町の床屋へ行ってくる!」

 町まで遠いのですが、隣近所の男たちと馬車を出し、床屋へいく事に。

「あんた!私の為に、白粉(おしろい)こうといで!」


「そうだ、家の腕白坊主を何とかしなくては……」

 奥さんはせがれを呼ぶと、素っ裸にしてゴシゴシと洗います。


「母ちゃん痛いよ」……

「明日、エライ人に呼ばれたの!」

「お前、明日おとなしくしていなければ、当分飯抜きだからね!わかった?!」

「わかったよ……」


 少し品のいい隣でも似たようなものですが、こちらの子どもは二人の姉妹……

 母親が、

「はしたないことをしないように、相手は黒の巫女さまですから……」


「本当なの?」

「本当です、いいですか、変なことをしゃべってはいけませんよ」

「それからできるだけ気に入られるようにね」


 そんな騒動が周りでは起きていますが、当のダフネの『夢見るお家』では……

 ビクトリアが、

「あるじ殿、先ほどのお言葉ですが、どのような意味があるのですか?」

「まぁ、それは後で説明しましょう」


 ヴィーナスはそういいながらダフネに、

「ねぇ、ダフネさん、今一度、手料理を作ってくださいな」


 怪訝な思いのダフネでしたが、黙って毒薬料理を作っています。

 そのダフネを、穴が空くほど見ていたヴィーナス。

「なるほどね……」

 と、独り言を云いました。



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