毒薬料理のコツ


「ダフネ様、私にもお料理を教えて下さい」

 ビクトリアが慌てて、

「アテネ!無謀なことをいうな、毒薬料理人がこれ以上増えると、本当に死人がでるぞ」


「でも、教えてもらっても、私がその様な物を作れるとは思えないが?」

「まぁ、確かにそうだな……」

「では教えていただこう♪ダフネ様、お願いします」


「私は警告したぞ!」と、ビクトリアがいいます。

 でもビクトリアは放置されます。


「アテネさん、こうして、ああして、こうなって、ここでね、火を入れて塩をいれるの、そして砂糖をぶち込んで、お芋をどんどんと切って、お鍋に入れると、美味しいシチューの完成♪」


 ドス黒い物がお鍋に鎮座しています。


 でも、ビクトリアが見ると、アテネのお鍋には、ちゃんとお芋とお肉の、煮物みたいなものが入っていました。

「アテネ、工夫したのか?」

「ダフネ様のいわれるようにしたのだが」


 ビクトリアは、アテネの鍋の煮物を食べて見ることに……

「うまくはないが食える代物だ、だが芋の皮ぐらい剥いたらどうだ」

「皮には栄養があるとダフネ様が教えてくれた」


「ダフネ、料理の常識はないのか!」

「どうして?栄養学の常識でしょう?」


「その考えはおかしい!」

「それに、この口にジャリジャリするのは、土ではないのか!」

「土がどうしたの?土ぐらいなにさ、多少付いているぐらい、大した事ではないでしょう?」


 毒薬料理のコツが見えたような気がして、ビクトリアは言葉がありません。

 アテネがダフネの指示通りに作ったら、土や砂混じりの煮物になった以上、隣の鍋のドス黒い代物の想像が出来るような……


 しかし、それぐらいで、あれほどの破壊力のある料理にはならない……

 多分、アバウトの上にもアバウトが重なった結果であろうが、それだけでもないような気が……


 どうにも、腑に落ちない現象が起こっているような気がした、ビクトリアさんでした。


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