誘拐される


 お昼すぎ、まだ太陽は空高く午後の日差しがまぶしいオープンカフェに、問題のダイアナはお茶をしていました。


 テーブルには、ケーキの山、五つほど並んでいます、しかもお茶をぐいぐい飲んで……とてもお上品とはいえません。


「あぁ、おいしい、たまにはいいものね」

 いやいやダイアナさん、たまではないでしょう、毎日ですよ。


 しかもダイアナのほっぺには白いクリームが……

 あわててカフェのウエイトレスさんが、「ダイアナ様、クリーム、クリーム」と、云ったりしています。


 そんなダイアナを、警備の者たちのほかに、もう一グループ監視しています。

「あれがダイアナか?美女だな……しかも高貴な出、たたき売ればいい金になる」


「しかしシルビアの姪ですぜ」

「さらってしまえばなんとでもなるさ、いよいよなら薬を使って客を取らせればいい、もっとも高く買いたいやつが山ほどいるだろう、飽きれば殺せばいいだけだ」


 そしてカフェの帰り、ダイアナはさらわれたのです。


「誰よ、あなた達は!」

「これはこれは気の強いお姫様、今からあんたは売られるのさ」

「人さらい!」


「そうだ、お前は有名だからな、奴隷市場にも並べられない、闇から闇へ売られるのさ、どこかの貴族の地下牢あたりで慰み者になるがいいさ」

 何処とはしれぬ地下牢に閉じ込められたダイアナ……

 しかも手錠などをされています。

 しくしくと泣き始めました。


「うるさいぞ!」


 さらに大声で泣き始めたダイアナ……

 下っ端が牢をあけて黙らせに来ますが、ダイアナさん、見事に下っ端の足を払い素早い動きをします。

 自由な足で見事に急所に蹴りをいれました。


「こんなものよ、シルビア叔母様に仕込まれているのよ!」

 何とか手錠の鍵をゲットして、さらに急所に蹴りを入れました。

「ふん、これで悪さはできないわ!」


 完全に気絶している下っ端です、で、さっそく逃げましたね。

 ナイフを略奪して、何とか地上の建物のドアの鍵をこじ開けましたが、ドンドンと音を立てたものですから、気付かれて……


 必死で建物から飛び出すと、星が輝く夜空、しかもどこか判らぬ草原でした。


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