生きてるからこそ

ボレロ

第1話・初めて見た世界

ヂリリリリリ、、、。

目覚ましの音で目を覚まし、身支度と朝食を済ませ、いつものように家を出て学校へ向かう。そして学校についていつものようにクラスメイトと話す。

そんな在り来りな生活を今日も送ると思ってた。

「いってきまーす」

「行ってらっしゃい」

母親からいつものようにそんな返事を聞き、学校に向かって足を進めていた。

学校へ行くには大通りを渡らないと行けない。

いつものように大通りの横断歩道を渡っていた時だった。

キキーッ!

車のブレーキ音が聞こえて右を見た時だった。

信号無視をした自動車が衝突してきた。

たぶんその時頭をぶつけたんだと思う。

「、、さん!、、、、か!?」

多分救急車で運ばれてるんだろうな、、、。

返事を返したくても返せない、、、。

もう、、、だめ、、、。

それからどのくらい経ってからだろう。

パッと起き上がり周りを見渡したら何も無く、どこを見渡してもただ真っ白い景色だった。

「すいませーん!誰かいませんかー!?」

大きな声で叫んでみたが返事は聞こえない。

「とりあえず歩いて見るか。」

少し歩いてあることに気がついた。

あれ?動ける確か事故ったはずじゃなかったか?

まさか、、、

「あの世なの、、、?」

いやいや、そんなはずはないよなこれは夢だ。

そう自分に言い聞かせてとりあえず歩いてみた。

すると少し遠いところで何人かの人影が見えた。

あの人たちに話しかけてみるか。その人達の元に駆け寄った。

「あのすいません。」

「お?新入りやの。ん?お前さんまだ死んどらんのやな。また戻れるんやったら良かったなぁ」

「え?どー言うことですか?」

「そーじゃな。お前さんは分からんわな。まずは自己紹介をするのぉ。わしは井上三郎っちゅうもんじゃ。」

「あ、僕は高校3年の角村智也です」

「智也くんか。覚えとくわい。」

「んで、ここは?」

「んーまぁーここはこの世で言う所の天国というかあの世とか言われとる場所でな、死んで成仏した人が集まるとこじゃ」

「は!?え!?じゃー、僕って死んだんですか!?」

「早まるでない。おまえさんはまだ死んどらん。よく自分の体を見てみ。少し透けとるやろがい。」

確かに自分の体は少し透けていてほかの人たちは体はくっきりとある。

「お前さんみたいな透けてる人間を何人か見てきたがそいつらはまだ戻れるんじゃ。だからの、お前さんもしばらくしたら現実に戻れる。良かったではないか。その代わりわしらたちの分までなごー生きて人のため、自分のために尽力を尽くして生きるんじゃぞ」

「はい。」

この時、おじいさんは少しどこか悲しそうな顔をしているような気がした。

「ところで、お前さん暇じゃろが?わしと少し話してから帰れーや。もうここに30年もおってな今の現代がどーなっとるんか気になっとってな。少し話聞かせとくれ。」

「はい!もちろんです!」

それから2時間ほど色んな話をした。

携帯が誰でもスマホが一般的に使われていることとか、大きな震災がいくつかあったことなど、沢山話した。

現実に戻れることに対して安堵してしまっていることに少し罪悪感があるのかもしれないが、これで罪滅ぼしにするつもりで話した。

話が終わり、おじいさんは言った。

「もう死ぬなよ。頑張ってここにいる俺たちの分まで生きてくれ。話聞かせてくれてありがとうな」

「はい!いつかまた会いましょう!」

そう言うと少しずつここから意識が飛んでいった。

、、、、、、、、、、

目を開けるとそこには天井があった。

でも見た事のない天井。

たぶん病院なんだろう。

右足と両腕には包帯が巻かれてあり酸素マスクと点滴をされてるみたいだ。

すると部屋のドアが開く音がして、母親が入ってきた。そして智也を見るなり、駆け出してきて泣き叫んだ。

「もう!あんた死んだと思ったじゃない!でも、ほんと生きてて良かった。生きててくれてありがとう。」

お母さん、、、。

こんなに心配してくれてるなんて、こんなに愛されてんだなって思った。

「あ、そーだわ。先生呼んでくるわね!」

そー言い母親は先生を呼びに行ったのだった

そして、僕は思ったあの人達の分も母親がこんなに愛してくれてる分も含めて絶対生き抜いてやろうと。

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