第2話 男でも美少女になりたい

 僕には変身願望があった。今の自分ではない何かになるという。化粧をするぐらいでは元の自分の姿は多少は残っているものだ。目の前の着ぐるみはまさに理想的だった。でも、疑問はあった。男でも美少女になってもいいんだろうかと。でも、たまたま近くにいた人の言葉が救いになった。


 「どんなに可愛いお面をつけて胸を作っていても、やっぱお里が知れるというもんだな。男だってバレバレだな」


 目の前の美少女が男? たしかに背も高いし肩幅も広いし胸の膨らみも不自然だった。ということは目の前の着ぐるみ美少女の中身は男? おもわず僕は聞いていた。


 「すいません、彼女たちになること出来ますか僕は?」


 その声は自信なさそうに聞こえたようだった。そのせいか、相手は少し怪訝そうな表情を浮かべていた。


 「彼女たちって、ドーラーのことか? その気があれば誰でもなれるさ。まあ、わしのように太っていたらダメだけどな? あんた、まさか興味をもったというのか? 着ぐるみ美少女に?」


 僕はそういわれて何を言えばいいのか分からなくなっていた。そのまま帰ればハマることはなかった瞬間だったといえる、着ぐるみに。その時声をかけた人の正体などしらなかった。


 「ぼ、僕は、男でも美少女着ぐるみになりたい! ですので方法があれば教えていただけないでしょうか?」


 そのとき、はじめて自分からやりたいことを言い出した瞬間だった。それが最初の一歩であった。

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着ぐるみ沼にハマって ジャン・幸田 @JeanKouda0

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