着ぐるみ沼にハマって

ジャン・幸田

第1話 着ぐるみ美少女との遭遇

 幼い日のことだ。よくスーパーなんかで「なんとかレンジャー・ショー」なんてイベントが時たまあった。10歳当時の僕は引っ込み思案で無口で、学校では良くいえばいじられて、悪くいえばいじめられているような少年だった。当然友人なんて呼べる同級生なんていなかった。なので、一人でいる事が多かった。普通、それを無視されるイジメというのだろうけど、気にしないようにしていた。いや気にするといやだったから。


 そんな、少年の僕の人生が狂いだしたのは、ある日のイベントだった。ただ最初から行こうと思ったのではなかった。やることがなかったからだその日は。両親は共稼ぎだし、兄弟もいない友人もいない独りぼっちの僕は近所のスーパーの前をなんとなく歩いていた。そんな時だった、彼女らに遭遇したのは!


 詳細は忘れたけど、たぶんなんかの魔法少女のアニメのショーだったと思う。カラフルなドレスを纏った、彼女たちが舞っていたのだ! それが着ぐるみ美少女との遭遇であり、人生が狂い始めた瞬間だった。


 僕は魅入られてしまった。着ぐるみの美少女たちに、そしてこう願ってしまったのだ! 彼女らになりたいと!

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