第104話 45日目

45日目


籠城するウィスタリアとアムスデンジュン軍の戦いは続いていた。


思えば皮肉な巡り合わせだった、かたや、

かつての故郷をいいように蹂躙され、国中を逃げ回ったあげく、この逃げ場のない岩山で 滅びようとしている民族、

もう一方は、はじめは非道と悪逆の侵略者役を押し付けられ、今は、宗主国の度重なる失策の後片付けのため、この戦闘を終わらせるために狩り集められた民族の戦いなのだ。


攻撃開始から2日目、41日になると、アムスデンジュン軍はこれまでの東斜面に加え、山の南側からも攻めてきた。

これで一気に、ウィスタリア側の情勢は苦しくなった。

これまでの敵が見落としていたこのルートは、実は地形の問題で塹壕や胸壁が作りづらく、防衛が難しい場所だった。


それでなくても、防衛側の人数は同じ、いや、徐々に減っていくなかで、2方面の敵と闘わなければならない。


ウィスタリア陣の後退する速度が上がった。

翌、42日目には5合目の『砲台』が陥落した。

守備隊は事前の取り決め通り、砲身内に詰め物をして砲弾を爆発させ、無力化した上で砲台を去った。


この日、45日目には、敵は7合目付近にまで迫っていた。

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