第27話 保安上の措置
ここが今後ウィスタリアとは呼ばれないというならそれでもいい。
また、卑劣ないやがらせや略奪に耐えるのが、敗者の運命だと言うなら、それでも構わない。
そのかわり気が済むまで罵り、盗み取ったら、自分たちのことはもう放っておいて欲しかった。
国とか伝統とか地位とか、そういったものを所有することで、他人から憎しみの対象となり、こんな悲しい、不愉快な思いをするぐらいなら、
自分が立ったり座ったりするのに必要な広さ以外は何も要らないから、かわりにその小さな領域には、もう誰も入って来て欲しくなかった。
しかしそれすらも、どうやら許されないようだった。
アムスデンジュン軍が村にやってきて2週目、ウィスタリア人の今後の運命が示された。
国外追放。
ラフレシアとの戦争に備えて、「保安上の理由」により、ウィスタリア人を別の場所に移動させる。
3日以内に住まいを明け渡し、アムスデンジュン軍の指示に従って移動するように、とのことだった。
行き先は明らかにされなかった。
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