ミーティア
「休みだ」
アーネストからそう告げられたカゲノブ。
今日も地面を転がり続けていたが、アーネストからは十本に一回程度の割合で勝てるようになっていた。
「統星の扱いもここ最近で少しはましになってきている。基礎は教え切ったし、そこに関してはほとんど問題はない。もう一つに関してもお前自身で仕上げろ」
統星の訓練も終わりを迎えており、カゲノブは本格的に暇になっていた。
もちろん、日々の訓練は行っているが、一日中行うわけではない。
早朝に訓練を済ませた後はリチャードから指示があるまでほとんど部屋で本を読んで過ごすか、アーネストと共に訓練をする程度。
唐突に与えられた休暇であったが、前々から一つだけやりたいことがあったカゲノブにとっては丁度良かった。
「サラ」
「あれ? カゲノブ」
貴族街から降り、孤児院に訪れていた。
「ヴァイデンライヒ家でお仕事してるんじゃないの。サボり?」
「違うよ。休暇になったんだ。特にすることもないし、サラに会いに来たんだよ」
「私に会いに来たの……?」
その会話を影から聞いていた孤児院の幼い女性陣はニヤニヤとしながら、飛び出そうとしているおこちゃま男性陣を押さえつけていた。
大声を上げようとした男の子はもれなく気絶している。
ベレッタの喪失に加えてカゲノブまで離れてしまったことによるサラの変化は本人が気にしている以上に大きい。孤児院にとって大切な姉のような存在である彼女に休んでもらいたいという気持ちが強く、このチャンスを邪魔させるわけにはいかないのだ。
決して二人の行く末が気になっているのではない。1割程度しか気にしてないというのは幼い女性陣全員の談であった。
「二人きりになる時間が欲しいんだ。君との今後を、話したい」
「ええ!?」
真剣な眼差しでサラを見つめるカゲノブ。
二人きり、今後、というワードに反応してサラは顔を赤くする。
「攻めすぎじゃない?」
「わたし的にはあり」
いきなり切り込んできたと鼻息を荒くしながら興奮する幼い女性陣。
これは攻めすぎだとか、私はこれくらい強引な方がいいと意見が分かれていた。
「そ、そんな突然言われても……わ、私だって今この孤児院と家のことで精一杯だし、カゲノブだって今のお仕事があるでしょ。まだ、時期じゃないっていうか、その……」
「早い方がいいんだ」
「で、でもお母さんとかお父さんにも話さなきゃいけないし、それに私達だけで決めていいことじゃないっていうか」
「サラの気持ちがあれば他は関係ないよ」
「そうだけど! でもちゃんと将来のことは考えたいの。やっと夢がかないそうだから……だから今は、駄目かな」
「そっか……ごめんね。俺の都合ばっか押し付けちゃって。でもサラが駄目だって言うなら、マークさんでもいいかな」
「は?」
突然飛び出たマークの名前。
サラはカゲノブの言っていることが分からなかった。
「ふぉおおおお! まさかのそっち。しかも既婚者狙い。これは許されないわ。けどそれがいい」
「サラ姉は遊びだったんだ。女をかもふらーじゅに使っていたんだ」
「ロリコンのおっぱいじゃなくて、男の人のおっぱい。だから小さいのも大きいのも好きなんだ……」
一方、女性陣は新たな扉を開こうとしていた。一部既に開いている者やカゲノブの性癖をより酷くしている者もいたが。
「なんでそこでマークさんが出てくるの?」
「え、だってサラはダメなんだろう? だったらマークさんと一緒に劇団の公演を見に行こうと思って」
「劇団の公演?」
「ベレッタに貰ってたチケットがあるんだ。サラと一緒に見に行けって渡されたんだけど、サラはダメっていうし、だからって捨てるわけにはいかないだろう」
「…………ああ、そうなのね」
一気に冷めたサラ。
そして己の誤解に気が付いた。
「何よ。あんな言い方されたら劇団に行くなんてわからないじゃない。今後のことって、カゲノブが私に――」
はっと気が付いて話すことを止めるサラ。
「私に?」
告白しようとしてるみたいじゃない。
そう言うことはできなかった。
それはあまりにも一方的な期待の押し付けだったから。
「なんでもないわよ馬鹿! 劇団でしょ。行くわ、行くわよ」
「う、うん。良かった」
「もうすぐ別の街に行っちゃうんでしょ。早い方がいいわ。私の次の休みの日に行くわよ」
「分かった」
劇団の公演に行く日取りを決める二人。
この街に長く滞在していた劇団ではあったが、そろそろ次の街へと向かうと発表されている。
行くならば早い方がいい。
カゲノブと話すサラは、先ほどよりもサラの機嫌は良くなっていた。
「サラ姉良かったね。カゲノブと一緒にお出かけ」
「デートだよデート。私達もしっかりしなきゃ」
影から見守っている幼き女性陣はサラとカゲノブのデートを歓迎していた。サラに行ったら顔を真っ赤にして否定しそうではあったが。
二人が出かけるその日は、別の人が来るのだろう。
迷惑をかけないようにしっかりとしようと一致団結していた。
「マークさんとは行かないんだ……」
違うことが気になっている女の子もいたが、それには誰も気が付かないふりをしていた。その深淵は見てしまえば飲み込まれると幼きながらに悟っていたのだ。
§
「あ! 貴族様だ」
「今日は一日よろしくおねがいします!!」
「ああ、よろしく頼む」
カゲノブとサラのデート当日。
孤児院へ訪れていたたのは意外な二人だった。
「今はお勉強してたの」
「そうか。アーネスト、私はこちらを見よう。お前は外で遊んでいる子供たちを見てくれ」
アーネストへと群がる子供たち。午前と午後で勉強する組を分けており、今は外で遊べる時間組の子供たちは突如訪れた巨人のような男に大興奮だった。
「でっかい兄ちゃんだ!」
「こっちだぜ!」
「あ、ああ」
はしゃぐ子供たちに少し押されながらも服を引かれてアーネストは外で遊ぶ子供たちの輪に入っていく。
「さて、私は君たち勉強を見ようか。分からないことがあれば聞くといい」
お勉強組に残ったリチャードはサラの置いて行った課題とにらめっこしている子供たちの教師となる。
とはいっても相手は貴族。そう気軽に質問出来は――
「なんでお勉強しなきゃいけないの?」
未だ貴族とその他人間の格の差を理解できていない子がいた。
その子以外は本能的にリチャードが格上の存在であり、気軽に話しかけていい存在ではないことを感じていた。
孤児院にいる子供たちはかつて虐待を受けていた過去がある者が多い。ここにきてサラやベレッタ、他の大人達のように優しやを持つ存在に触れて心の傷が癒えているものの、それでも上位者に対しては苦手意識が存在する。
彼らを刺激しないようにと、そのためには黙っていることが一番だと分かっていた。
故に誰もリチャードに対して失礼のないようにと意識していたし、課題も可能な限り自分で解こうとしていた。
サラもカゲノブとデートということがあり、いつもよりも簡単で少ない量の課題だったため何事もなく終わるだろうと考えていたが、その子だけはそう考えていなかった。
「それは今の君を知る為にするのだ。君は己自身を説明できるか?」
「わたしはシャーロットだよ!」
周りの予想に反して、リチャードはその子の質問に対して答えようとしていた。
「ならばシャーロット、君は今どこにいる?」
「ここ」
シャーロットは孤児院を指さすわけでもなくただ突っ立ってそう答えた。
「あっているが遠いな。君のその好奇心や思考は良いものであるが、それを説明出来るだけの力が今の君には足りていない」
「足りないの?」
「そうだ。シャーロットという君を説明するだけでも多くの知識、知恵が必要となる。学びとはまず己を知ることから始まるのだ。己を知り、己を深めることに学びの真髄は存在する」
「わたしを知ること……」
「己を知るためにする勉強は嫌いか?」
「ううん。わかんないけど、わたしはこれじゃないって思うの。もっと違うことしたいの」
その言葉にリチャードは僅かにではあるがシャーロットに対して向ける視線に圧が出た。
ほんの一瞬のことであり、シャーロットも気が付かないほど小さなことではあったが、外で子供たちと遊んでいたアーネストだけはそのことに気が付き何事かと窓から顔をのぞかせていた。
「…………ふむ。その違うことをするためには君に知識と知恵が必要だ。後々になってから足りないと嘆かないように、何が足りないかを理解するために。シャーロット、君のその気持ちは決して間違ったものではない。それを持ち続けるといい」
「うーん。分かった」
「ふふ。ならば期待しよう」
シャーロットの返答に微笑みを浮かべるリチャード。
アーネストはめったに見ることがないその表情に驚いていた。
「あ、あの……」
「どうかしたか?」
「ここが、よくわからないです……」
シャーロットへ向けた態度と、笑顔。そこからリチャードに対しての遠慮が減ったのか質問をし始める子供が現れ始める。
リチャードはそれに一つ一つ丁寧に答えていった。
§
劇団の公演を見に来たカゲノブとサラ。
入場開始までの時間を劇団員が店員として働く喫茶で過ごしていた。
「大丈夫かな」
「孤児院のこと? リチャード様もアーネストさんも優しい人だから大丈夫だよ」
「うん、まあそれはそうだろうけど、シャーロットが何かやらかしそうで……というかもう絶対にやらかしてる気がする」
サラが思い浮かべるのは一人の少女。
常に疑問と共に生きていると言っていい彼女が、貴族という新鮮な存在に対しておとなしくいられるだろうか。
カゲノブが来た時ですら質問攻めにして困らせていたのだ。
「だめだ。あの子絶対に困らせてる」
「俺は多分大丈夫だと思うけどなぁ……」
「何かお困りですか? お似合いのお二人さん」
シャーロットへの不安を抱くサラと楽観視しているカゲノブのところへ、一人の店員が話しかけた。
「嘘……」
迷惑をかけてしまったとその店員の顔を見たサラは驚きを隠せなかった。
「貴方は?」
対してその店員のことを何も知らないカゲノブは名前を聞いた。
彼は優しく微笑みながら答えた。
「これは失礼しました。初めまして美しいお姫様、そしてその王子様。お困りのお二人をお助けしたい自称お節介の天使、ミーティア・アンフェールです」
風に揺れふわりと流れる銀色の長髪、あの男と同じ黄金の瞳。
しかしそこに人を圧倒するような雰囲気はなかった。
長身痩躯の彼からはどちらかというと人よりも離れた感じがした。
「何やら困っていたようなのでお話を聞こうと思いまして」
「え、でも公演の準備があるんじゃ」
「俺がすることって意外と少ないんですよ。小道具とかの準備は他のみんながやってくれますし。俺の仕事はセイリオスを完璧に演じろって、みんな言うんですよ。でももう完璧に演じれていますし、何かお手伝いはないかと思っていたところに悩むお二人が! これは助けないわけにはいかないですよ」
さあさあ、と促すミーティア。
カゲノブとサラは顔を見合わせる。
「……その、一人困った子がいて、その子が問題を起こしてないか気になっていたんです」
「おや、お二人はご夫婦でしたか。これは失敬。お若いお二人でしたのでてっきりカップルかと勘違いしていました」
「いや、ち、違います! カゲノブとはまだそんな……」
「まだ、ですか」
「んえ!! その、えっと」
「サラ、一回落ち着こう。ミーティアさん、すごくいい笑顔してる」
「彼氏さんは冷静ですね」
「俺とサラは付き合ってませんから」
「……これは、嵌ってはいけない沼に足を踏み入れてしまった感じでしょうか。いや! それでもこのミーティア、天使としてお二人の仲を応援いたしましょう」
誤解されたまま進んでいるが、サラは否定せずにあわあわとしておりカゲノブはどう説明していいものか悩んでいた。
「孤児院の子供で、ちょっとだけ好奇心旺盛な子がいて、その子が今日面倒を頼んだ人に迷惑かけていないか心配になっていたんです」
変に隠さずにカゲノブは話した。
「なるほど。それでカゲノブさんとサラさんは悩んでいたんですか」
「ええ。俺は大丈夫だと思うんですけど、サラはそうじゃないみたいで」
「私だってそんなに心配はしてないわよ。でももしなんかあったら……」
「うーん。サラさんも本当に心配でしたらここには来れないでしょうし、カゲノブさんは大丈夫だという人物であれば、きっと問題は起きないです。なにより、これは俺の勘ですが、きっとその人は子供が好きだと思いますよ」
「勘ですか」
「ええ。よく当たると評判なんです。占い師の方に言わせれば俺はどうもほかの人より直感が優れているらしいです。でもその占い師さん、その後は占い外しまくりで今はいなくなってしまったんですよ。優れているって言われても信頼できないですよね」
あはははは、と笑うミーティア。
あまりのブラックな話にサラとカゲノブは苦笑いであった。
「それに、俺が言うのもなんですが、お二人は今日の公演を見に来て正解でしたよ」
「正解?」
「ええ。今日の公演はいつものものとは少しだけ違うんです。と言っても、違うことをするのは俺なんですけどね」
「内容が変わるんですか」
「一回限りの伝説です。普段を知るお客さんであれば気が付くでしょうが、初めてご覧になるお二人にとってはこれが正しい公演内容となりますね。もし違いが気になるならもう一度見に来ていただければ」
「商売上手ですね」
「いやあ、ありがとうございます。俺達はこれが生活の要となっていますし、完売させたいんですよ」
「しますよきっと。内容の違いがあるなんて、そんなの確認しに行きたくなるに決まっているじゃないですか」
きっと何度もやっているんだろう。ミーティアの言うやり方は初めてやるように感じさせる言い方ではなかった。
「そろそろ時間ですね。楽しいお時間をありがとうございます。では、お二人さん。次合う時は月の下でお会いしましょう」
公演時間が迫っているミーティアは席を外し、会場へと戻っていった。
「月の下?」
「セイリオスが駆けるのは月灯りに照らされた下だから、自分の役を重ねたのね」
「そっか。……俺達もそろそろ行こうか」
「そうね」
すでに空になった皿を下げ、カゲノブとサラも入場が始まった会場へと向かった。
§
望まない婚約だった。
相手は己よりも高い格を持つ貴族。
父も母も、そこと関係が、繋がりが持てると喜んでいた。
そう。
私は二人の、願いを叶える道具。
「違うわ」
貴方達のために生まれてきたのではない。
美しくなるように努力したのは、貴方達に評価されたかったからではない。
ただ、ただ一人。
運命の人と結ばれるために。
「助けてよ……」
乙女は星に願う。
「やあ、美しきお姫様。泣いているのかい?」
「貴方は……」
「名もなき男です。最近じゃ義賊様なんて持て囃されてるんですけど」
「っ!!」
「ああ、警戒しないで。別に貴方を罰するわけに来たわけじゃない。泣いている人を見たらつい構いたくなっちゃうんだ」
「なんで、ですか」
「この世界を笑顔で包みたいから」
「……なら、私を笑顔にしてください」
「うん。いいよ。俺が君を幸せにしてあげる」
義賊はそう言った。
ただ一人の少女のため、力を振るう日々が始まる。
「怪我をしているじゃないですか!」
「かすり傷だよ」
「駄目です。治します」
「え? そんな強引にすると……」
「やあ!」
「いたたたたた!!」
「ご、ごめんなさい」
やがて彼女に笑顔が戻り始める。
それと同時に、名もなき男の存在も大きくなっていく。
「王様が、この国のみんなが貴方を探してる」
「有名になったね」
「このままだと貴方は死ぬかもしれないんですよ! なんで、なんでそんなに笑っていられるのです……」
「だって、君が悲しそうな顔をしているから。俺は君の笑顔が見たいよ」
「バカ! バカバカバカ! 私だって、貴方の笑顔を見ていたい。貴方と一緒に笑っていたいんです!」
「……そっか、ありがとう。じゃあ、もう少しだけ待っていてくれ。次に会う時は、必ず君を笑顔にして見せるから」
最後の仕事に向かう。
「何者だ!!」
「名もなき……いや違うな。俺は――」
彼女のために戦うと決めたのだ。
そのために絶やしてはいけない光守る己こそは――
「セイリオス」
男は、名を持った。
§
興奮によって残る熱は未だ冷めない。
公演終了後、興奮したサラに喫茶へ連れ込まれたカゲノブ。
ドリンクを注文し、それが届くまでのサラは控えめに言ってすごかった。
「やばいわ。何がやばいって、かっこよすぎなのよ」
「ミーティアさんだよね。俺も最後、セイリオスって言ったところは熱くなったよ」
男としてはあそこで熱くならずどこで熱くなるというのか。周りにいた男性陣もそのシーンでは若干ソワソワしていた。ほかにもいくつか気になるところがあったが――
「男の子はそこが好きでしょうね。でもね、女子は違うのよ。あの後にある一緒に逃げようって台詞がねもう。いえ、その前をもよかったわ。まさかセイリオスを助けていた貴族が婚約者だったなんて。しかも最後には壁として立ちふさがる。負けられない戦い、愛か友情か。負けた後も親友の幸せを願ってセイリオスと令嬢の逃亡を助けるのもなかなか――」
「サラ、その気持ちは分かるけど帰ってきて」
語らせると止まらないタイプであった。
「好評なようでうれしいよ」
熱く語るサラに押されるカゲノブ達二人のもとに訪れたミーティア。
「ミーティアさん! 凄かったです!」
「ありがとう。実は最後のシーン、セイリオスは親友を殺して、満身創痍のまま令嬢と踊って死んじゃうんだけど、今回はちゃんとみんな生きてハッピーエンドって形にしてみたんだ。そっちの方がこの街じゃいいかなって」
ちらりとカゲノブを見るミーティア。
「セイリオスって名乗る場面も新しく追加したんだ。男性の方にはあそこが最高にきたと思うんだけど、どうかな」
「はい。最高でしたよ」
「君にそう言ってもらえるのは嬉しいなぁ。女性陣からは受けいまいちだから要らないって言われたんだけど、やっぱり入れて正解だったね」
その言葉にカゲノブは少しだけ固まってしまう。
ミーティアは己がセイリオスであることを知らないはずで、男性からの評価をもらえたことが嬉しかったということなんだろう。
「このハッピーエンドがあるって知ったらまた見に来る人もいるでしょうね」
「アスクウィス商会のご令嬢にそうおっしゃっていただけるとは、俺にも商人の才能があるんでしょうかね」
「知っていたんですか?」
「お恥ずかしながらあの後劇団員に教えてもらいまして。その節は失礼しました」
「いいんです。公演見に来ていながら楽しそうにしていない人がいたら、私だって気になりますから。おかげで楽しむことが出来ました」
「自称お節介の天使が役立ったようで何より。さて、人も集まってきたところですし、俺はここらへんで」
周りを見るとミーティアの存在に気が付いた客が広めたのか、一目彼を見ようと喫茶の周りに人が集まっていた。
「凄い人気だね」
「さっきの公演もそうだし、ミーティアさん自身がかっこいいからお話ししたいって人はいっぱいいると思うわ」
「サラと俺は話せたからね。見た限りだとお節介の天使なんて言ってるようには見えないけど、面白い人だったね」
「貴方がそれを言うのね……」
「な、なんで?」
「なんでもないわ」
カゲノブも意外と人気があった。
彼に女が寄り付かないのはサラという周囲公認の嫁がいたためであった。
「さ、帰りましょ。あまり任せきりになるわけにもいかないから」
「そうだね」
この後、孤児院に帰った二人をエプロンをしたリチャードとアーネストが出迎え、驚かせたのはまた別の話。
ちなみにその姿は子供たちとある権力者からは大好評であった。
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