第9話 魔女の正体

必死で、、、

無我夢中で、、、

ただ進んだ。


意識が、遠のく事も在りながらも。


遮る枝や、木々を掻き分け、、、

獣のうめき声や、唸る声が聞こえる中、、、。


必死で、、、

我武者羅に、、、

ただ進んだ。


気づけば、辺りの草木は、無くなり。

目の前には、ポツリと大きな古びた館が、一つそびえ立つ。


セツナは、息を切らしていた。

ゆっくり すーっ。と深呼吸をして、

ゆっくり 館の扉を開く。


館の扉を開けた先には、広々とした玄関ホールで、

灯りと言うモノは、陽の光ただそれだけの薄暗い印象だった。


足音を立てず、セツナは、辺りを確認しながら進んで行く。

すると、右の扉から何かが出てくる音がした。


柱に、すぐさま姿を隠し

その音の正体を陽の光を頼りに、探った。


その姿は、この国で、初めて目にした4足で、動く動物だった。


その姿を見たセツナは、驚きを隠せなかった。

自分の育った国では、観た事もないその生き物。

どちらかと言えば、植物の兵士や、動物の兵士達の姿の方が、馴染みがあったのだ。


「無事に、元の姿に戻れて良かったね。」


2匹の動物の後に、出てきた人物は、

セツナから観れば、これまた初めて見る程美しい姿をした。


人間だった。


この国には、似合わなく。

逆に、それが、不気味にまで思えた。


アイツが、魔女に、違いない。

そう確信したセツナは、辺りに落ちていた枝を手に取り。

ゆっくりと魔女の動きを観察し、攻撃を与える隙を探していた。


そしてその時が、来たのだ。


魔女が、動物達を外に出した瞬間。

セツナは、一気に、魔女に向かっていった。


それに気づき、魔女は、ツタを束にして大きな盾を作り

セツナの一振りを防御した。


「なんだい・・・。まだいたのか。」


魔女は、次に、セツナが持つ枝を見て

枝をセツナに絡ませ、セツナ位の木を作りセツナを捕らえた。


――クソッ!離せ!!

「離せは、ないだろ・・・。」


「そっちから襲い掛かってきたのに。」


魔女は、自分を襲い掛かった正体を黙視した。

そして魔女は、人間ッ!?っと姿に似合わない程に、驚いた。


「本当に、人間かい!?君は??」

――そうだよ!何に見えるんだよ!?

すると、魔女は、嬉しそうにセツナの顔を触り、ほっぺたを引っ張り始め

ブツブツとセツナを研究し始めた。


――おい!わかったら放せよ!!

「いや。万が一も在る。さっきの君の行動は、まるで獣だったからね」

――あんたが、魔女なんだろ!?

「魔女?」

今度は、不思議そうな顔で、セツナを見てこう言った。

「僕は、ランギク。君と同じ人間だ。」


――あっ!そうだじゃあ凪って知ってる?俺とアンタと同じ生き残った7人の子供らしいんだけど。

「凪?それも人間かい?それとも動物かい?」

――えっ?人間だけど・・・。

「・・・すまないね。だとすると僕は、その人を知らない。」


――そっか。

きっとまだ記憶の断片コネクトが、凪位には、ないのかと。

セツナは、ランギクの表情を見て想った。


――さっきのは?

「え?あー。動物の事かい?」

「この森はね。元々彼等の物だったんだ。だが、ある日を境に、彼等は、力を持ち僕を狙い始めたんだ」


――元々は??

「そう。僕が、物心ついた頃には、植物と動物に育てられたんだ。この森で。」

「だから僕は、植物に、力を与えこの森を守ってきたんだ」

「そして、傷ついた動物達を元の姿に戻して、この森に帰してきた。」


――えっ?じゃあなんでリクべべが、話に来たのに追い返したり、兵士が、俺を襲ったりしたんだよ!?

「・・・リクべべ??」



その名を答えた瞬間だった。


セツナの目の前に、リクべべが現れ。

一瞬の内に、リクべべの剛腕が、ランギクを吹き飛ばしたのだ。

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