第10話 戦う理由

『ー100年前』


「今は、闘うべき時ではない。」

その言葉に対し、一人の賢者が、激怒し言い返した

「闘うべきじゃないだと!?では、黙ってやられろと言うのか!?」

「違う。時期を待つのだ」


「“勝つ為に”」


「勝つ為に?では、秘策でもあるのか?」

先程激怒した 一人の賢者が、問いただした。

その言葉から、僅か5秒の沈黙を経て、“在る計画”について話し始めた。


それが、7人の子供達に、魔法界の未来を託す事。


激怒した賢者と、2人の賢者は、反論した。

馬鹿馬鹿しいと。


「吾輩は、この地を去る。」

一緒になり、反論した賢者も我々もと、集会所を出ていき。

「アンタの決断を後悔させてやるよ」と、言い反論した賢者も

この地を去った。





それから約50年後。


その男は、生まれ変わり。

平凡に暮らしていた。

しかしそれから40年後の事だった。


一定の人々に、前世の記憶が、突如蘇り。

鮮明に思い出した者達が、魔法を使えるようになったのは。

リクべべも、その内の一人だった。

人によっては、記憶の断片コネクトの値は、違っていた。


その理由は、明確ではなかったが。

リクべべは、全てを思い出したのだ。


賢者の選択。

7人の子供達に、選ばれた7人。


そして、その瞬間に、決め直しただ。


今度こそ、あの老いぼれの決断を邪魔すると。




《魔女の館》


吹き飛ばされたランギクは、壁に激突し、倒れ込む。


――リクべべ!?

突然現れたリクべべと、行動に対してセツナは、唖然としていた。


「ようやく。この時が来た。」

リクべべは、不気味に笑った。

「感謝しよう。セツナ。お前のお陰で、吾輩の夢が、叶うのだ」


――夢?でもアイツは、悪い奴じゃなさそうだぞ!?

「悪い奴?無知と言うのも、また腹立たしい物だな。」

「まぁ。それの方が、好都合だがな」


「黒魔道士に、殺され。生まれ変わり。気づけば人ではなくこの姿で在り。」

「ランギクの存在を知り、何度も奴を、殺しにこの館を訪れようとしたか。」


「しかし奴は、魔法によって。他者の魔力を持った物を通さぬ結界を張っておった。自ずか知らずか。」

――じゃあアンタは、俺を利用したって事か・・・。

セツナの問いに対し、リクべべは、嘲笑い話を続けた。

「魔法と言う物の根本的なモノも知らぬコイツ等を、あの老いぼれは、魔法界の未来を託したのだ!」


「馬鹿馬鹿しい。」


「魔法とは、力よ。」

「それをこの国の動物の為?植物の為?くだらん。実に、くだらん。」


――あの時、凪の話をした時も、俺達をくだらんと思ってたって事か。

「その通りだよ。セツナ。」

「それに、魔法使いが、初期で使う召喚魔法すらも気づかんとは、それでも本当に選ばれたい。」

「偉大なる魔法使いかァ?」


――召喚魔法?



【召喚魔法とは。】

魔獣・人ならざぬ存在を召喚する魔法。

契約を要する上級魔獣・魔王もいれば、簡単に呼び出せる魔獣も存在する。

しかし、魔獣以外にも、特殊召喚出来る場合も在る。

それは、上級魔法使いのみが、扱える“禁忌召喚”

他者の身体に、自らの血の印を記した場合。

名前を呼ぶだけで、その場に、呼び出せるのが、禁忌召喚である。

しかし、便利では、在るが、呼び出した者の魔力の消費が、大きい為

魔法界は、この召喚を禁術とし、記したのだ。



「吾輩が、貴様らを簡単に、背負う訳なかろう」

――じゃあ、あの3人は!?

「よくもまぁ必死に動いてくれた物だ。」

「それでこそ、大切な駒だ」

リクべべは、高笑いし3体の兵士をも嘲笑った。


その言葉を放った瞬間。

ゴゴゴっと大きな音がし、怒っていたセツナの身も凍る程の殺気が、館全体に走った。


「お前が、何処の誰で、どんだけ凄い魔法使いかなんてどうでもいいよ」

「ただ、傷ついた動物達の原因が、お前ってんなら。」


「ここで枯らしてやるよ」


起き上がったランギクに、先ほどまでの美しさは、なく

植物達が、ランギクの身体を覆いかぶし、その姿は、まさに化物。

そのモノだった。

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