第7話 化物

『ー100年前』

王国から追われた魔法使い達が、隠れて暮らしていた国。

集会場にて、5人の賢者たちが、対策を練っていた。


「黒魔道士め・・・。我々を裏切って尚且つ人間の味方をするか」

「・・・厄介な奴だ。奴は、たった一人で、我々5人と渡り合う化物だ」

「どうする?このままでは、我々魔法使いは、全滅だぞ」


不安を抱えた会議の中、一人の賢者が、口を開いた。


「今は、闘うべき時ではない。」

その言葉に対し、一人の賢者が、激怒し言い返した

「闘うべきじゃないだと!?では、黙ってやられろと言うのか!?」

「違う。時期を待つのだ」


「“勝つ為に”」





――「生き残った7人の子供?」

「そうか。凪から聞いていないのか?」

「100年前。“魔女狩り”を企てた帝国が、黒魔道士に力を借り、我々魔法使いを全滅させたのだ」

――黒魔道士・・・。

「そして我々賢者が出した答えは、君と凪を含む7人の子供達に託すこと。」

その言葉に、セツナは、凪の最後の言葉を思い出した。


《セツナ。あと“5人の奴等”に会え。≫

《そうすれば、きっとお前は、魔法界を救える≫


――凪。

「落ち込んでいる暇などないぞ。」

「自体は、深刻だ。」

――つまり俺は、その魔女と会えばいいのか?


「・・・あぁ。じゃがさっき体感した様に。あの場所には、在奴(あやつ)が、作り出した。植物の兵隊プラントソルジャーが、在奴への道をふさいでおる。」

「吾輩達も、何度か説得へ向かったが、あの様だ。」

――それも、魔法なのか。

「そうだ。それに、君ら7人には、我々が、仕えぬ“禁断の魔法”を備えて転生させておる。」


――禁断の魔法?

「黒魔道士と、対等に渡り合う為の禁術だ。」

――でも俺には。

「恐らく、お主は、自分で抑え込んでおるんだ」

――抑え込んでいる?

「それに、在奴は、記憶の断片コネクトが、不確か。我々では、どうする事も、出来ない」

「そこで、危険は、招致で君に行ってほしい」

――でも、俺魔法使えないぞ。

「大丈夫、吾輩と最も優秀な兵士が、お供しよう」

「入れ」



森の国ディープフォレスト

100体以上の植物の兵隊プラントソルジャーが死守する草原の奥に在る

棘の道を抜けた先に、ポツリと経っている魔女が住むう館。


植物の兵隊プラントソルジャーに、引きずられて

その場に、放り投げられる2匹の動物兵。

彼らは、ゴリラと共に、植物の兵隊と戦った2匹だ。


「性懲りもなく。また此処に来たのか。」

「・・・全く。困った動物だ」


動物たちは、その姿を見て震えあがった。

右腕から全身にかけ、植物が、身体を覆っていき

自分達よりも、大きく姿を変えて行き

その姿は、まるで、化物。


そう想った瞬間に、2匹の動物を植物が覆いかぶす。


「今、楽にしてあげるからね。」


その男は、動物達から、“魔女”と呼ばれる程

容姿は、美しく。

女性と見間違える程に、花が似合う男。


その男の名は、“ランギク”



舞台戻って、動物達の村。

村長の家では、セツナに、3体の動物兵が紹介されていた。


セツナを、この村に招いた パワータイプのゴリラの兵士。

スピード勝負には、自信を持つヒョウの兵士。

圧倒的攻撃力を持つライオンの兵士。


「こやつ等は、この国を誇る最強の兵士だ。」

「失敗は、許されぬ。」


――それで、辿り着けるのか。


「失敬な男だ。」

ライオンが、セツナの一言に、威嚇しながら答えると、続けてゴリラが、自信あり気に。

負けっぱなしでは、終われんよと、高らかに笑う。


そしてリクべべが、嬉しそうに、セツナの肩を叩き。

時が来たのだと、一言放ち。


「辿り着くのだ。でなければ、これだけの兵を出す意味がない。」

そう言って、もう一言添えたのだ。


「“勝つ為に”」



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