第4話 託された想い

ー100年前


魔女狩りが、始まり。半月が過ぎる頃

世界に、生き残る魔法使いは、魔法界の秩序を守る五大賢者に

魔法界の未来を委ねていた。


そして賢者たちが、下した決断。


《この先、魔法世界を担う7人の子供達に“未来”を託す》


勿論反対した魔法使い達もいた。

その魔法使い達は、魔法界を去って行った。


一人の賢者が、7人の子供の内 優秀な成績を収めている3人を集め こう言った。


《いずれ、魔法界を脅かす 大きな闘いが起こる。》

それは、黒魔道士と王国による“魔女狩り”ではない事。

そして、その時に備えて 3人には、記憶を持たせたまま 特殊魔法を7人の子供に授ける事。


「・・・と言われても」


一人の少年が、困った顔で、賢者に問いかけた。


そして、賢者は、言った。

《〇〇を護れ。―――――。》

《あの子は、今は、魔力もない ただの子供だが、“覚醒”すれば。いずれ魔法界を救う存在となるだろう》

「え?俺ですか?? “リュウグウ”も“〇〇”も いるのに!?」


《お前にしか出来ない頼みだ・・・。―――を頼む》


《―――凪。》






決着は、一瞬で在った。


凪の光の剣が、太一の身体を音もなく過ぎ去る。

まるで風の様に、優しく。そして強く。


住民達が、太一から凪に目線を映した瞬間。

暴走していた太一は、倒れ気を失っている。


セツナを含み、住民たちは、何が起きたのかわからなかった。

ただ、わかったのは、

凪が、魔法を使った事。


・・・凪?

セツナは、凪に問いかけた。


凪は、セツナの方を向き

いつもと同じ優しい声で、答えた。


「―――セツナ。別れの時が来たみたいだ」


そう言うと、凪の後ろに、黒いマントを着た化け物が現れ、大きな鎌を構える。


その姿を見た住民達が、化け物だ。と言う一言と同時に、

セツナと凪を、化け物扱いし始め、太一の時同様に、

追い出せと暴言を吐き始める。


構わず、凪は、続けた。



「セツナ。あと“5人の奴等”に会え。」

5人?誰の事だよ

「そうすれば、きっとお前は、魔法界を救える」

何の話だよ!凪!?


化け物は、鎌を大きく振りかざし、凪目掛けて振り落とす


凪!?

セツナの声が、住民にかき消される中

ゆっくりと化け物の鎌が、凪の身体を貫通する。


凪は、再び優しい笑みを浮かべ、セツナに

「魔法界を頼む。必ず黒魔道士を倒してくれ」と笑顔を最後に

倒れてしまった。


それと同時に、化け物は、セツナ目掛けて向かってくる。


一瞬の事だった。

化け物が、セツナの身体を覆ったのは。



【・・・だ】

【・・・〇〇。安心しろ!】

【必ず俺がついてるからな】


記憶。

時に、自分の身に覚えのない出来事が、

まるで、本当に起きたかの様に、鮮明に頭を過ぎる。

あれは、夢で見たのか。将又はたまた、忘れてしまっているのか。


僕の不確かな記憶の淵に、映る記憶は、

優しい笑みを浮かべ いつも僕の側にいて、僕を護ってくれた兄の様な存在。


確かに聞こえた。そして思い出した。

彼の名は、凪。

一番最初に、黒魔道士に殺された。仲間の一人。



目を覚ますと、さっきまでいた場所とは、違っていた。

その場所は、観た事もない木々と言う物が踊り、聞いた事しかなかった花と言う物が歌い

辺りが緑で覆われた場所。



いつも凪の話を聞いて、想像していた景色。




=森の国 ディープフォレスト=


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