第3話 凪の決断

寂れた都市 

此処が、セツナと凪の育った場所。

物心ついた頃から、セツナの隣には、凪がいた。

両親の顔も、名前も知らない。

凪の両親も。凪曰く、セツナは、先ほど一緒にいた丘で、見つけたらしく

そこから、住民達に協力して貰いながらセツナと育ってきた。


「今日の収穫も、少ないな」

凪は、空を見上げながらセツナに、話しかけた。

凪は、少し寂しそうに、セツナを見てこう続けた。

「お前は、いつか外の世界に出ろよ。」


セツナにとって外の世界は、未知の世界だ。

近頃、凪は、セツナに外の世界の話をするようになった。

この故郷とは、違い

水で覆われた国。空に浮かぶ国。木々達が踊る国。

本当に存在するのか、はたまた空想の世界なのか。

セツナは、外の世界に興味が、あった。

あの声の主と、もしかしたら出逢えるかもしれない。


そんな事を想って、故郷に向かっている途中。

故郷から悲鳴が聞こえたのだ。


凪は、悲鳴が聞こえた瞬間、少ない食料を

その場に落とし悲鳴の方へ走っていった。

セツナも追いかけようとした瞬間、頭痛と眩暈めまいと共に、

再び身に覚えのない記憶が、頭を過ぎった。


いつもの女の子が助けを求める場面ではなく。

セツナと同い年くらいの男の子が、自分に助けを求めてくる記憶。


頭痛が収まり、目が覚めると

横たわっていた。ゆっくり身体を起こし

凪が走って行った方へ向かっていく。


そこには、傷だらけの凪と、理性を失って暴れまわっている男と

隠れて見守る住民達。


凪!!!

と叫ぶと「来るな!!セツナ!!!」と

今までセツナに見せた事のない凪の怒声と顔だった。


セツナは、その姿に圧倒され立ち尽くす事しか出来なかった。


「太一さん・・・。俺の声が聞こえるなら答えてくれ。」

凪は、暴れまわっている男に優しく語り掛けるも、

しかし男は、右手を鉄にし街を破壊し続ける。


「鉄・・・。太一さんあんた」


凪!そいつを早く止めてくれ!!

さっさと追い出しちまえ!!


住民達が、男に対して一斉に言葉で、威嚇し始める。


凪は、静かに集中し始めた。

「仕方ない。」

凪は、そう言うと右手に光を集め、刀の形にした。

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