パパ

 男性は、朝7:00に目覚ましで目が覚めた。セミダブルのベッドには、史奈ふみなが寝息を立てていた。

 男性は、史奈を揺すり起こした。史奈はゆっくりと目を覚ました。


「やだあ、今何時?」

「7:00」

「ああ、よかったあ。朝ご飯の支度するわね」

「ゆっくりで、いいよ? 麗蘭れいら起こしてくる」


 男性は、隣の部屋でひとり眠る娘の麗蘭の部屋をノックする。


「はーい」


 中からもうすでに起きているのか、娘の麗蘭の声がした。


「パパね? もう麗蘭起きてるから大丈夫」


 男性は、麗蘭の言葉を聞くと、無言でその場を離れた。男性は、史奈のいるキッチンへとゆっくりと動き、やってきた。


「ああ、パパは、仕事の準備でもして、待ってて、あと45秒だから」


 男性は、キッチン横にあるリビング部屋に行き、カーテンを遮光カーテンを開け、ブラインドへと切り替えた。

 男性は、壁掛けモニタに言葉を出し、モニタの電源を入れた。画面上では、本日の天気予報と同時に、1日の占い予報が放送されている。男性は、史奈と、麗蘭を呼んだ。


「ああ、ごめんごめん。パパ。これ大事だもんね」


 史奈と麗蘭は慌てて、部屋にやってきて、モニタに釘づけになる。


『11月A型生まれのあなた:今日は絶好の告白日和。良い出会いに巡り合えるでしょう。11時15分頃、異性の視線を感じたら、積極的に声をかけてみましょう』

「麗蘭、あなたのことよ? でも、変な男には気をつけなさい?」


 母の史奈が、学生の麗蘭に諭すように言った後だった。12月生まれO型の史奈の1日占い予報が流れ出した。


『12月O型のあなた:今日の出会いはbudな予感。出かける際は、車に注意してみましょう。ラッキーアイテムは、先取りマフラーです』


「ああ、うっそ。マフラーってまだ早いわよ!」


 史奈はモニタにひとり突っ込む。男性は、史奈に近寄り、肩に手を充てた。


「まあ、まあ、史奈。今日は出かけるのは、控えようか?」

「パパ? そんなことより、キッチンの朝ごはん用意して」

「わかったよ。Hey! Android! 料理をテーブルへ」


 男性が声をかけると、一瞬でテーブルに料理が乗った。


「パパ、仕事行ってる間、洗濯物と掃除、買い出し、夕ご飯の支度お願いね?」

「わかったよ。史奈。いつもの通りに」

「ああ、パパ、私の部屋の掃除もお願い」麗蘭が小さく誤りながら、男性に声をかけた。

「わかったよ。麗蘭。その代わり、今日の占い、当たったら相手を教えてくれ」

「いいわよ? パパ」


 2025年の世界。

 宅用家政ロボットpapaというアンドロイドAIが発売された。見かけは、普通の男性の平均身長175cmで、顔は自分の好きな顔に映るように自動設定される。見る人によって、顔が変わる。体格はロボットでなく、生身に近い骨格。好きな服装にチェンジができる。

 同時に宅用家政ロボットmamaも同時発売。

 価格は2019年のiphone11と同様の値段らしい。単身家庭の強い味方になるかどうかは不明。

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