第19話:侵入者5

南方のガ三ラス星人集落で発生させた”かぼちゃはうまい”の情報は急速に谷の中のガ三ラス星人に広がって行った。

どうやら、ガ三ラス星人は集団同士の挨拶で食べ物を送り合う習性が有るらしく。

急速に情報伝播が起きた。

何せ谷の中にはかぼちゃの群生地は数ある。

ガ三ラス星人自体が作った群生地もある。(うんこによって。)

その内、かぼちゃの収穫量を人口が超える事を期待して…。

ガ三ラス星人達は元気に谷を走り回っています。

「ふう…。物量は力だ、数で圧倒する事も出来る。」

でも速く火を使う様に成らないかな…。

楽しいAV(アニマルビデオ)の鑑賞中にいきなり警告音と共に南のダムの映像が立ち上がった。

「む!何だ!!」

画面の中央遠くに…。

人影が。

「一人だと…。」

ガ三ラス星人でもツーマンセルを守っている。

長距離移動は家族で移動が鉄板だ。

単独で動く生物は初めてだ…。

「偵察か?」

ダム堰堤を登り始める人型。

「うーむ。大きい個体だな。所持している道具は…。こん棒か?」

恐らく石の兵より大きい。

個体差なのか種族的な…。

背中に何も背負っていない。

カバンも持ってない。

遂に堰堤を登り切った。

「コレは…。ワンレン!ボディコンだと!!」

恐らく毛皮のワンショルダーワンピースに…。

ボディコンと叫んでしまったが、長い髪に胸の膨らみが盛大に有るので…。

多分牝だ。

全体的に幅が広く骨太な印象だ、つまりムキムキ。

頭髪は長く、頭部額に二つの突起物、犬歯が口からはみ出している。

「鬼か…。」

蛇が出ていないが…。鬼が出た。

「いや、鬼女か…。匂いが移ると大変だな。」

ブラックオ二キスではどうだったかな…。

どんどん進む鬼女…。

石の兵や塔には何も関心を示さない。

「しかし…。コイツははぐれなのか?他の個体はどうした?」

動物は家族で移動するのが鉄則だ。

独身で、婿探しの旅に出ている最中かもしれない…。

いや、牡の話で牝がソレをやるのは珍しハズだ。

「鬼女は婚活中か…。いや。自分探しの旅かもしれない。」

鬼女は草原で鼻をひく付かせた。

周囲を伺う犬の様な…。

「鼻が良いのか?」

風上には移動生活をしているガ三ラス星人の集団が居る…。

10Km以上離れている。

いきなり走り出す鬼女。

ガ三ラス星人に向って一直線だ。

「この距離でかぎ分けるのか。」

鬼女の襲撃に気が付いたガ三ラス星人の集団は素早く戦士階級が前に出た。

他は逃走に掛かっている…。

体格差のあるガ三ラス戦士。

体格の良い鬼女の振り回したこん棒で一撃で沈む。

「おい!弱いなガ三ラス戦士」

鬼女は倒したガ三ラス戦士を担ぐとそのまま逃走に入った。

「むっ!食べてしまうのか!!」(●REC)

戦場を離れた鬼女は担いだガ三ラス戦士を…。

「頭から…。」

バリバリしている…。

火も通さない。

やはり飲み物扱いだ。

「鬼女は…。ガ三ラス星人が主食なのか?」

過酷だな…。

ガ三ラス星人は。

今日からこの谷での捕食者が増えた。

血まみれ鬼女は内臓をすする様に食べきると。

腕を引きちぎって噛み切っている。

「うーん…、この絵面は放送出来んな…」(□停止)

スプラッタ…いやスナッフ…。

「しかし…。鬼女の食性は解った。後はどうやって増えるのだ?」

動物は家族単位で行動する。

縄張りのある動物は居るが、基本的に牡が守るハズだ…。

牝が放浪する事は有るのだろうか?

個体が単独で移動する生物。


いや、ドラゴンが居たか。

鬼女は食べ残しのガ三ラス星人の両足を腰に下げると血が付いたこん棒を持って立ち上がった。

「流石異世界だな…。丸太が初期装備か。」

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