第16話:ダークエルフ2
開拓のダークエルフ達は、土器を作ったり、樵や、川と草原で狩りの毎日だが。
ある日、全員で草原の草で作った茣蓙を持って川の淵に潜って行った。
「漁具なのか?」
しかし、上がったダークエルフに魚を持った様子は無く。
付いた泥を
濡れた茣蓙を乾かして、新たな茣蓙を持って入る作業を繰り返している。
本格的に家を作る段階に成ったのか、倒した木を腰の長さで斧で切断して焚き木の周りに立てている。
積み上がる丸太、まるで、しいたけ農園だ。
この世界にキノコは在るがタケノコは無い。
よって戦争は起こらない。
全ての茣蓙が川の中に入ると。
ダークエルフ達は大きな土饅頭を作り始めた。
中身は切断した木の幹だ。
隙間は乾燥草で埋めて有る。
切った乾燥中の丸太は後三回分は有る。
家は作らないのだろうか?
刈り取った草原の跡は焼畑に対応しているように思える。
「本気で定住する気は無いのだろうか?」
出来上がった巨大な土饅頭の頂点に火を付け。
饅頭の天井から煙と火が立ち登る。
どうやら下に空気穴が開いているらしい。
雄を残して雌達が通常の仕事に分かれる。
雄が昼寝しているが土饅頭の頂点から立ち上る炎から目を反らしてない。
そして土饅頭の全ての穴に練った泥で塞いだ。
この時点で彼等の意図は解った。
「ああ、炭を作ろうとしている…。しかし、あれほど倒した木を全て炭にする心算か?」
今まで燃料を携帯していなかったダークエルフが熱源を用意し始めた…。
竈も無いのに炭も要らないだろう…。
次の日の朝に、土饅頭を崩して中の炭素を
そして新たな
炭の大量生産を行っている。
「生活のためにそんなに炭が必要だろうか?」
玉座に座って天井を見上げる…。
竈は毎回破壊している、食事は直に焚火だ。
未だ暖炉処か家も作ってない…。
日が落ちて食事が終わるとパコパコを始めた。●REC
しかし、こいつら本当に元気だな…。他に娯楽は無いのか?
「うむ…。まだ観察が必要だな…。」
数日かけて全ての丸太が炭に変わると。
今度は大きな竈を作り始めた。
直径はそれ程でもないが、使う土の量から判断しての話だ。
女達が土を練って男が円筒形に固めている、炉の壁も厚い、おそらく高い。
途中の乾燥期間で数日、食糧確保のインターバルが有ったが。
ダークエルフ達より背の高い円筒形の炉が完成した。
男は猟の成果を保存食に加工して。
女達は、今は作った炭を粉々にしている…。
暖を取るのは
この時点でやっとダークエルフの目的が判明した。
「こいつら、製鉄の為に鉄が取れる場所を探している…。」
確かに上流のダムで岩石が破壊され砂になって中に含まれる砂鉄が川の淀みに溜まるだろう。
「なるほど…。川で茣蓙に砂鉄を濾し取っていたのか。」
上流のダムから砂吐きすれば、幾らでも溜まる。
鉄穴落としをして居る様な物だ。
しかし、チタン鉄鉱かもしれない…。
磁石で選り分けれるが、完全な物ではない。
当初、ダークエルフ達は川に目を付けなかった…。
おそらく、湖の底の鉄バクテリア堆積物で製鉄する心算だったのだろう。
しかし、人工湖で完成して日の浅い。
鉄バクテリアが堆積するほどではない。
ダメ元で川の淀みを浚ったら砂鉄が有ったのだ…。
男が、炉の天井から炭を入れ始めた。
砕いた物と交互だ。
「あの
恐らく、全部入れない土器に入っているのが砂鉄だ。
最後に、燃やした茣蓙の灰を炉に入れた。
男が炉の下に刺さった丸太を抜いて、焚火を入れた。
「点火式とやらないんだな。」
炉の上部から煙を上げる…。
ダークエルフ達に宗教は無いか…。
「そう言えば、ふいごはどうするんだ?」
送風機らしき物が見当たらない。
ダークエルフの男の手が光った様に見えた。
光ってはいない、この目(無いです)には魔力が光って見えるのだ。
「あ、風魔法か。」
女達も手伝い交代で風魔法を使っている。
「まあ、何にせよ、こいつ等は鉄器が作れるのだ…。」
しかし、あの程度の量では精々出来るのは斧一個に矢じりが少量だろう。
その為に多くの木々を伐採している。
しばらくすれば森は丸裸だ。
だから移動しているのだろう。
「まあ、そのうち文句言いに行ってやろう。」
一晩中燃えた炉は次の日の朝に男が炉を崩し始め。
底に溜まった、赤い塊をダークエルフの男がハンマーで打ち始めた。
それを見守る女達。
出来た物はハンマーの頭と斧の先だった。
古代の製鉄は大変だな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます