第14話:侵入者3
ドラゴンを倒して手下を増やそう。
そう意気込んだのは良いが、餌になるガ三ラス星人が増えない。
襲われた群れは半数以下に減って南の大きな集団に合流した様子だ。
流石、平和民族。ガ三ラス星人。
何もトラブル無く吸収されていた。
きっと、種族共通の相互補助の精神が有るのだろう。
一方、ドラゴンと戦った我々の損害は大きかった。
破壊された中継器交換に手間と時間が掛かったが。
戦場は元通りに戻った。
脳内ゴーレムリストには大破、中破の列だ。
大破でもサービス絵が無いので地味にげんなりする。(作業量的に。)
なお、現在、ゴーレムの手は余っている。
理由は北のダムは完成はしたので、試験貯水中だ。
毎日のノルマを決め、城の中の地下工廠で修理作業をしている。
戦力は余っているので強化改造中だ。
やっぱり戦は質量兵器だよ…。
貫通力の在る大型バリスタを設計している。
据え置き型、蜘蛛型ゴーレムに搭載用、等と大きさと状況を考えて対抗策を練っている。
無論、守株待兎では無いので、ありとあらゆる不思議生物に対抗できる手段を講じている。
蜘蛛型ゴーレムのレーザーを使った誘導雷撃兵器だ。
何処でも自由に雷を落とす事が出来る。(目標と積乱雲との位置取りが重要)
冬が来て、計画が進み、試作品が完成した頃に雪解けのワジは起きなかった。
北のダムが全てを受け止めたのだ。
盆地に必要な水量は取水塔から供給されているので、特に影響は出ていない。
魚や草木への影響を調べるのはコレからだ。
水に含まれる養分までろ過されているなら、ダム本体の密度流出排水道を使って定期的に土砂排水を計画する必要が出る。
無論、北のダム湖が完全に土砂に埋まるまでの年数が伸びる為。
余りやりたくないのが現状だ。
「一回ぐらいは機能するか試してみる必要が有るのだが…。」
最深部の玉座で呟く。
支配地域の映像のザッピング中だ。
鳥を観察したり、草を食む鹿を見るのだ。
警告音が出て南のダムの監視塔の映像が立ち上がる。
「ふん、又、鹿だろう…。」
望遠ズームする。
「うん?コレは…、人類?」
数人の人類がダム堰堤を眺めている。
「ガ三ラス星人では無い…。」
身体が細い…。
「痩せた個体、にしては。肩幅が…。」
日焼けして、肌の色はダークやブラウンで何故か髪は直毛だ。
耳に特徴が有る…。長い。
頭部から飛び出している。
はじめ帽子を被っているのか?と思ったが、短剣や斧、弓を装備している。
コレは間違いない!
「ダークエルフ、キターーーー!!」
思わず叫ぶ。
良いぞ!異世界!ダークエルフだ。
全員、ダム堰堤を登り始めている。
「ふむふむ。雄が一匹に雌が四匹!いいぞ、いいーぞ!」
一応布の服と革の鎧に金属のバックル!
全員、弓は小弓で矢筒には多数の矢に鳥の尾羽だ!
「短剣は鉄なのか!」
鞘に収まり不明だが腰に下げた斧は黒光りしている。
火を扱いう人類なのは間違いない!!
望遠映像を嘗め回す様に観察する(望遠カメラで接写!)
なに、モーターショーでは御馴染みだ!
細身でスタイルのよいモデル体型だ!
素直に喜ぶ。
「すばらしいぞ!ダークエルフ。(セクハラ中)」
革のサンダルがダムの最上部に掛かった。
抜いたナイフに日の光が反射する。
「鉄器キターーー!!」
監視塔に注意を払っている。
「さあ来い!歓迎のPVだ!!」
最近ドラゴンを倒す映像を追加した。新作PVだ!!
接近するが唯の石柱だと解ると興味を失ったダークエルフ達。
ダム湖の方に向かっている…。
水鳥は逃げない。
「えー。触れよ!」
雄が服を脱いで水に入って泥を掴んできた。
マッパだ。
雌四匹が周囲を警戒している。
泥を詳しく広げて首を振っている。
落胆した顔だ。
雌達は弓を構えて泳ぐ水鳥に一斉に矢を放った。
三匹程度に刺さる。
鳥たちは飛んで逃げた。
雄が泳いで矢追の水鳥を回収した。
雌達は喜んでいる。
「なんかリア充臭いな…。」
いやいや、ダークエルフだから…。
雄は水から上がると雌に猟果を渡し、細い木を折ってナイフで加工し始めた。
「槍を作っている…。」
他の雌は木々から小枝を集めている様子だ。
「斧を使っている。何をする心算だつもりだ?」
雄が又水の中に入って行く…。
「ああ、ヤス漁をするのか…。」
雌達は集めた小枝で…。
何か…。あ、
こいつ等…。
「火を起す気か…。」
弓きり式の火起しだ。
左手で抑えて右手をシコシコ動かしている。
少々時間が掛かったが煙が出始めた。
「うむ、この地で初の炎だ!!」
ガ三ラス星人は火を使わないからな!
小さな種火はキャンプファイヤーにまで成長した。
火を囲み水鳥を毟る雌達…。
雄が水から上り数匹の魚を取ってきた。
雌達が喜んでいる…。
魚を受け取った雌は調理を始めた。
腸を抜いて串に刺している。
雄は火に当たり体温を回復させているのだろう…。
皆で囲んで串を焼くダークエルフたち…。
食事が始る。
皆で食事を楽しんでいる。
日が傾いてきた。
どうやらココで野営する心算だ。
食事が終わり休憩中だ。
雌達が着衣を脱ぎ始めた。
「むっ!」
多方面からの映像が立ち上がり、思わずズームにする。●REC
湖に向かうダークエルフ達、男は休憩したままだ。
湖畔で全裸の
「綺麗好きなのか?」
長く眺めていた男が、立ち上がると水の中に入り…。
女達とパンパンし始めた。
「おのれリア充め!
思わず玉座から立ち上がり、拳を握る。
黄金のガントレットが軋み金属音を立てる。
「ハーレムか!ハーレムなのか!!ダークエルフ!!」
衝撃的で有るが…。
よくよく考えると地球でも一夫多妻は有った。
「ま、まあ。夫婦仲が宜しいようで…。」
そのまま力なく、玉座に座り、肘を掛ける。
異常が無いかガントレットをグッパーする。
軋みを上げ上手く動かない、壊れたか…。
「でもハーレムか…。」
変形するほどガントレットを握ってしまった。
一瞬で治ったガントレットで額を揉む。
ココは考えるところだ…。
ダークエルフの小生態に付いてだ。
「今度転生する時はダークエルフの雄に…。いやいや。肉食で狩猟生活の…。移動する生態なのか?いや、何処かで
等しく成功が終わるとダークエルフの女達が身体を拭き合っている。
焚き火に生木の枝を入れた。
煙が辺りに充満する。
「ふっ、今更。不自然な湯気を炊いても遅いぞ?」
結構な量を投入している。
恐らく虫除けの心算だろう。
洗濯物を燻して干している。
焚き木を囲んで、毛布を敷き始めた、就寝の準備だ。
食べ残しはそのままだ。
恐らく朝食にする気か?
保存する調理方法ではない。
荷物を待たない主義なのかもしれない。
しかしソレでは日々の糧が確実に得られるとも限らないだろう。
「まあ、ハーレムと言う事は。其れなりに過酷な生活なのだ…。」
そんなのあっという間に子沢山だ。
移動する生活なら食料が無くなって終わりだろう。
それなりの理由が有るからハーレムなのだ。
意外とダークエルフは過酷な生活かもしれない。
健康的な裸体が脳裏をよぎる。(ぷるーんぷるん。)
「も、もう少し観察しよう…。」
べ、別にあんた達の事、気に入っているワケじゃないからね!
日が落ちて暗闇になり、ダークエルフ達は眠りに付いた。
遠方の中継器に動くものを発見した。
ガ三ラス星人だ、キャンプファイヤー中のダークエルフを発見した様子だ。
多少の木々は有るが、暗闇の湖畔にキャンプファイヤーだ、直ぐに発見できるだろう。
真っ直ぐダークエルフ野営地に向かっている。
途中で停止して、しばし動かない。
その場を、引き返すガ三ラス星人。
「なるほど…。偵察か。」
音も無く走るガ三ラス星人、向かうは近くの湖の集団だ。
「ほほう、いきなり文明同士の衝突か…。コレは楽しめそうだ。」
最大勢力の集団から23の戦士階級が砦を出た。
先頭を歩くのは偵察に出た個体だろう。
包囲は完成して、暗闇の中、じりじりと就寝中のダークエルフの男女に迫る。
「湖畔にキャンプ中のリア充男女が襲われるのは何処の世界でも一緒か…。」
それより、ガ三ラス星人。目が良いな。
包囲は狭まっている。
コレはダークエルフの負けだ。
「事が終わった暁にはこのダム湖を”クリスタルレイク”と名付けよう。」
雄が異変に気づいたがもう遅い。
ジェイソン達が襲い掛かる。
焚き火が崩され。
戦闘が始るが、あっという間に捕縛されるダークエルフ達。
取り押さえられたダークエルフ達は毛布で簀巻きにされて丸太の様に運ばれてガ三ラス星人の砦に戻った。
さて、ガ三ラス星人の最大の集団である湖の畔の砦は中継器を中心に作られている。
理由は不明だが、毎日の糧を並べる生活では、便宜上の問題だろう。
中央の広場を取り囲む様にガ三ラス星人の竪穴式住居が並んでいる。
日が昇り朝になると、ガ三ラス星人達は採取活動を始めるが、何時もと違う。
中心の広場に並べられた簀巻きのダークエルフ達。
供物を捧げる夕方の儀式の様だ。
「食べられてしまうのか?ダークエルフ。」
弱肉強食の異世界だ。
仕方が無い。
頭に飾りを付けたガ三ラス星人の大きな個体が出てきた。
おそらく、コイツがボスだ。
少なくとも毎日の儀式の時はコイツが先頭に居る。
司祭的な役職かもしれない。
ダークエルフ達の前に立ち、何かを叫んでいる。
「言葉が通じるのか?」
ガ三ラス語は未だ不明だ。
理由は中継器の初期型には集音マイクを装備していなかった。
まさか初期型を囲んで集落を作るとは思わなかった。
集落が出来てしまっては改修作業もできない。
ガ三ラス星人さんを驚かす様な事は極力避けている。
無論、触れれば会話が出来るはずだが。
ガ三ラス星人さん達のマイルールがゴーレム達に触らない事だ。
ガ三ラス・ボスが端の簀巻きダークエルフ女を指示した。
数人の戦士階級がダークエルフの女に迫る。
ダークエルフ男が簀巻きで暴れる。
「食べられてしまうのか!(性的な意味で)」
無論映像の隅は●REC表示が出る。
数人の屈強な男達に持ち上げられたダークエルフ女は暴れる。
だが、無駄だ。
そのまま中継器に押し付けられた。
『やめ、放して!!』
”自己紹介映像PV。ver2.11 放映中”の映像が立ち上がり。
放心して暴れるの止めるダークエルフ女。
蜘蛛の上に立つ金ピカの俺が格好良くポーズを決めて、死んだ新鮮なドラゴンを…。で剥がされた。
放心したままのダークエルフ女。
次の女が押し付けられる。
又、初めから自己紹介映像が流れる。
繰り返すと最後にダークエルフ男だ。
”自己紹介映像PV。ver2.11 放映中…。停止、放送中TC00:00:01。”
やった!今度は長い。
思わず拳を握る。
剥がされた男は放心したままだ。
最後の宝の山まで放映できた!!
放心したままのダークエルフ達にガ三ラス・ボスが何かを叫ぶとソレに合わせて叫ぶ住人たち。
「え?どうなんの?」
おもってたんと違う。
ガ三ラス・ボスが指示すると戦士階級が捕縛した時と同じようにダークエルフ達を担いで砦を出て行った。
残された住民達はガ三ラス・ボスを先頭に中継器にお祈りを始めた。
ダークエルフを担ぐ戦士階級は、キャンプ地のクリスタルレイクへ向かい。
簀巻きを解いた。
大人しく座るダークエルフ。
「…。なんか叱られている様に見えるな。」
二、三会話をするとそのまま戦士階級は立ち去った。
暫く放心したままのダークエルフ達は…。
のそのそと、キャンプを撤収して…。
北に向かって移動を始めた。
暫く思案に暮れる…。
ガ三ラス星人、意外と平和的だな…。騒いだ若い
今回の総括だ。
「そういえば、ドラゴンが火を吹いてたな…。いや、まあ。文明の炎なら始めてだが。」
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