第13話:侵略者1

飛来したトカゲは高度2000mを越える山脈を軽々と越えてやって来た。

「赤い…。トカゲだと!」

くっ、赤いから三割うまい!!

それより前足が在るのに背中の羽はナニから進化したのか非常に気に成る。

「この世界に、進化の前段階に成る六本足の変温動物は居なかったハズだ…。」

流石異世界!不思議生物が一杯だ!!

悠々と空を飛ぶトカゲ…。

主翼は蝙蝠の様な皮膜だ。

一回の羽ばたきで信じられないほどのダウンウォッシュが働く。

「…、何となく風魔法を使っているな…。」

魔法を使って空飛ぶ謎の不思議生物だ。

俺も飛べるので納得できる。

中継器間の通過時間で移動速度が解る。

「150km/h程度か…。随分と遅いな。いや、重量を考えると恐ろしく揚力が発生している。」

もう少し速くないと失速するハズだ。

推進力が1:1に近い。

ホバリングできるかもしれない。

無論、体積比が水と1:1の場合だ。

手足と口の形状で食料は大体わかる。

「ふむ…。コレがこの世界の、霊長類か…。」

肉食だ。

「この体積の肉体を維持するには大量の食料が必要なハズだ。」

この平野に食べる物が在るのか?

熊、鹿、狼だ。

「ああ、そういえばガ三ラス星人がいたな。」

4つの集団の内、中規模の集団に気が付いた空飛ぶトカゲは蝙蝠羽を閉じ草原に急降下した。

気が付き散開しようとするガ三ラス星人。

トカゲは長い首を振りいきなり火を噴いた。

「怪獣映画かい!」

思わずツッコム。

炎の壁が出来て退路を塞がれるガ三ラス星人。

萌える草木。

いや、大火事だ。

着陸したトカゲは長い首を動かし一口でガミラス星人を咀嚼して食べた。

口からガ三ラス星人の腕が毀れ落ちるが気にしない様子だ。

「と言うか…。あまり咀嚼しないな…。後で反芻するのか?」

四足歩行で移動して、逃げるガ三ラス星人を追い立てるトカゲ。

次々に飲み込んでいく。

ほぼ、丸呑みだ。

「ガ三ラス星人は飲み物か…。胃が強いのか。いや砂肝があるのかも知れない。まあ、良いだろう。」

幾らなんでもこの頭の大きさだ。

脳の容量は人間以下と言う事も無いだろう。

ガ三ラス星人も知能が在るので一番近い人工湖の方に逃げ始めている。

あ、火を噴いた。

炎の壁に遮られ逃げる方向が誘導される。

上手く追い立てて居る。

「後でゴーレムで消火しよう…。それより中継器触ってくれないか?」

いや、ゴーレムを動かしコッチから挨拶に出よう。

幸い進路は炎の壁で解る。

「一番近い…。湖の中か…。」

お魚監視用の水中ゴーレムが自己診断を終え湖底を動き出す。。

基本性能は通常小型ゴーレムだ。

湖面が盛り上がり、長い水中待機で全身藻が生えた小型ゴーレムが地上に出た。

映像では外観に異常は無い。

「ゆけ!水中ゴーレム!取り合えず挨拶だ。」

通信も映像も問題ない。

ゆっくり走る岩ゴーレム。

数が減ったガ三ラス星人が通過する。

大きなトカゲが迫る。

トカゲの前に進むと攻撃の意志がないことを…。

映像が揺れて横に地面と空が半分に成った。

『攻撃を受けました…。ダメージ38%。迎撃を開始しますか?→YES NO』

「は?」

ダメージレポートに挨拶ゴーレムの損傷箇所が表示される…。手足は欠損だ。

別の中継器からの映像ではトカゲはゴーレムを咥え。

喰えないと判断したのか空中でゴーレムを放り出し地面に墜落している。

「おい!速いな!」

PVを流すヒマも無かった。

後ろ足で立ち…。

首を振り、逃げるガ三ラス星人を探す大トカゲ。

ガ三ラス星人は草木に隠れる事に成功した様子だ。

獲物をを探し周囲をうろつくトカゲ…。

尻尾で木々が倒れる。

足で踏み潰される運の無いガ三ラス星人。

『攻撃を受けました…。ダメージ100%完全破壊。機能停止しました。』

水中ゴーレムが尻尾に跳ねられ破壊された。

腹いせだろうか?

草木に隠れている、保護色ガ三ラス星人を発見できないでいる。

「ふむ…。随分と獲物に執着するのだな…。あっ」

『攻撃を受けました…。ダメージ80%、一部機能の制限が発生します。』

中継器の一つが大トカゲの尻尾攻撃で一撃で破壊された。

幸い、後期生産モデルなので中継機能は地面の下だ、たかがカメラとレーザーと気温&湿度計がやられただけだ!

「一発だけなら誤射かもしれない…。」

見当違いの方向に火を吐く大トカゲ…。

ハハッ!頑丈に作った中継器が一撃だよ?

「こやつめ…。」

破壊した中継器の台座を踏んでいる…。紹介PVは流れている様子だ。

ガ三ラス星人を諦め目に付いた中継器に向かっている。

「ふう。やれやれ。」

『攻撃を受けました…。ダメージ62。迎撃を開始しますか?→YES NO』

立ち上がり前足で中継器上半分を折った。

そのまま中継器を齧っている…。

無論PVは流れている。

つまり…。

「ふう。」

溜息をつく。(肺は無い)

怒る前に人間5秒考えるのだ…。

そうすれば。

何か良いアイデアが…。

「YESだ!全兵力投入!大型ゴーレムを今直ぐ起動。この糞トカゲを生きて帰すな!」

脳内MAPのゴーレム達が一斉に動き出す。

近くの蜘蛛型ゴーレムにタンクデサントを始めるゴーレム達。

無論武器を装備済みだ。

草木が生え苔生すゴーレム達が草原を掛ける。

突如、水中から出現したゴーレムに驚くガ三ラス星人。

トカゲを包囲し始めている。

空気が変わったのを感じ羽ばたき出すトカゲ。

「逃がすか!対空迎撃!塔の全砲門開け!集中砲火だ。」

中継器から照準レーザーが発射され、塔の主砲から光が伸びて羽ばたくトカゲに命中する。

「やったか!」

無論、やられてなかった。

蝙蝠羽の皮膜は焼け落ちたが、鱗を焦がした程度でダメージは通って無さそうだ。

「くっそ!対光線防御アンチレーザーか!」

鱗が焦げて地面に落ちる。

下は無傷の鱗だ。

「コイツ!Ⅰフィールド装備してやがる!」

増加装甲を付けてやがった!

トカゲの癖に生意気な!!

流石異世界!ミノ粉が元気だ!!

地面に落ちて羽をたなびかせるトカゲ野郎。

だが、無くなった皮膜で揚力が足りてない。

「逃がすか!!」

ダウンウォッシュの烈風な暴風の中。

壊れたゴーレムの腕が尻尾を掴む。

無論、尻尾に振り回される半壊ゴーレム。

『攻撃を受けました…。ダメージ42%。迎撃を開始しますか?→YES NO』

『攻撃を受けました…。ダメージ47%。迎撃を開始しますか?→YES NO』

『攻撃を受けました…。ダメージ56%。迎撃を開始しますか?→YES NO』

「モチ口一ンYESだ!!FCS同調射撃開始!」

トカゲにゴーレムが張り付き。

ポイントマーカーされ、MAP上の射界にある全てのレーザーが集中する。

熱線と熱風に煽られるトカゲ。

断末魔を上げている。

「お前の装甲が無くなるまで焼き尽くしてやる!!」

泣いて謝っても許さん!

主砲の加熱で耐久度が見る見る下がる。

発射限界は見えてきた!

「くっそ!三連装三基にすれば良かった!!」

六連装回転砲塔なんてガ卜ラン〒ィス的な兵器は実戦では役に立たないのだ!!

だが、カッコイイのは認める!

飛び上がったトカゲは力尽きて大地に落ちた。

大地に転がる大トカゲ。

しかし未だ戦闘力は失ってない。

タンクデサントのゴーレム急便達が、配達品を大地に落とす。

「GO!!GO!!GO!!」

攻撃型アタッチメントを付けた蜘蛛型ゴーレムがトカゲに張り付く。

くそう、コチラの最大級ゴーレムなのに小さく見える。

尻尾に跳ね飛ばされ、足が欠損して地面に落下する蜘蛛型。

しかし、別の蜘蛛型のブレーカーがトカゲの鱗を掘り、ハサミリッパーがトカゲの厚い皮膚を切り裂く。

群り、血に染まるゴーレム達と大地。

逃げ出す、ガ三ラス星人

火を噴くトカゲ。

ゴーレムが火に呑まれるが、岩なのでダメージは0だ。

地面に倒れるトカゲ、未だ息は在る。

「とどめを刺せ!!」

もがくトカゲに欠損したゴーレム達も加わる。

心臓奥にまで蜘蛛型ゴーレムのブレーカーが達して痙攣を始めるトカゲ…。

「やったか!!」

思わずガントレットを握る…。

さあ、お約束だっ!変形しろ!!

「…。」

痙攣がおさまり尻尾の先が力なく倒れた…。

無言の時間が過ぎる。

「え?変身しないの?」

三段階ぐらい変形してくれないと…。

攻撃を続けるゴーレム達

取り合えず死んだと判断しても良い様子だ。

玉座の肘掛の感触を確かめ額を摩る。

「ふう、倒したか…。」

モニターを観察する。

流れるゴーレムのデータ、大損害だ。

コチラの自慢の主砲が通じなかった…。

「このデカイ死体どうしようか…。死体?」

ひらめく、初死体だ。

「移動魔法。」

『転送ポイントを指定してください。』

無論、トカゲ監視中の蜘蛛型ゴーレムに合わせる。

景色が変わり蜘蛛の上だ。

「ふん、でかいな…。」

異世界ドラゴンの初めてこの眼で見た感想だ。(眼球はありません)

「うむ。アンデット製造!!」

叫ぶと頭の中に文字が出る。

『死体を指定してください。(新鮮な素材ほど素早さが上がります。)』

視界にターゲットレチクルが出る。

遂に初生物だ。(しんでます)

新鮮なドラゴンの死体に合わせる。

「ゆけ!アンデットドラゴンよ!!」

気分で叫び指定すると新鮮なドラゴンが黒い光に包まれた。

『最適化実行中です・・・ 22%』

「意外と時間が掛かるな…。ぬっ!」

良く解らんが力が抜けてゆく…。

黄金の鎧自身を見る。

特に変化は無い。

最適化は現在53%だ。

耐えられそうだが…。

「コレが魔力が抜ける感覚か…。」

魔力が在るのか不明だが、ゲーム的ならそうだろう。

破壊されたゴーレム達の回収に掛かる。

戦場の後片付けだ。

骨は回収してもう一回使える上に、工廠で部品のリサイクルが出来る。

ゴーレム達が部品を拾い、足や腕の無くなった小型ゴーレムを集めて移動の補助を始めた。

欠損したが動ける蜘蛛型ゴーレムに破片や動けなく成った小型を引っ掛ける。

満載になった物から城に帰還を始めている。

周囲にガ三ラス星人達は居るが今は特に作業の邪魔しないので無視だ。

怖がって動いていない。

新鮮なアンデットドラゴンが起き上がる。

傷口はそのままで、死体の状態だ。

『最適化が終了しました名称を入力して下さい。』

「名称か…。」

特に思いつかない。

ポチとか太郎ぐらいしか…。

「いや、いや、お前の名は”死者の町の主”だ。」

地下四階に作った無人の町だ、そこのフロアボスに相応しい。

死者の町を守るアンデットドラゴン、うん。良いじゃないか!

その内、住民も揃えてやる。

名称が確定すると嬉しそうに新鮮なアンデットドラゴンが歪な咆哮を吐いた。

「うんうん、良いぞ。気に入ったか。移動魔法!」

『場所を指定してください。』

新鮮なアンデットドラゴンを地下4階層の広場に指定する。

後から気づいたが、移動魔法は自分だけではない、対象物を指定して送る事が出来た。

無論、移動場所は支配地域ダンジョン内限定だ。

何にでも応用は重要なのだ…。

新鮮なアンデットドラゴンが消えてクラッと眩暈を覚える。

「やはり…。図体がデカイと魔力を消費するのか…。ココはゴーレム達に任せて帰るか。」

勝手に魔力と呼んでいるだけで、疲労度かもしれない。

今日は骨の回復が悪くなる、休眠すれば直る。

今回、手駒を増やす事が出来たが、反省も多い。

いや、今日は疲れた。

休んで明日考えよう。

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