第9話:地上制圧3

南側谷の出口に地下ダムが完成した。

一応、岩盤まで掘って一部は地上に出ている。

機能的には砂防ダムだが。

外見は唯の岩の階段付き小山だ。

水が溢れれば魚道になる。

将来池になる窪みもある。

小型の生物も用意に歩いて登れる。

北側の谷の入口とは高低差が40m以上あるので。

もしこの池が溢れれば盆地の地下水位は最低40mまで上昇したことになる。

試作の地下堰堤により人工湖が水に満たされれば。

本格的に、盆地を南北に遮断する大規模サンドストレージダムの建設計画が始る。

ダムの防衛の為に一寸した塔を幾つか建てた。

監視カメラと砲塔装備。

コレで何時でもダムの監視が出来る。

後は試験溜水を行うだけだ。


10回目の春の濁流は大地に消えることなく流れ。

谷の出口の池には水が染み出した。

川の水は泥水だが、各地に作った溜池の底、地下導水路から透明な水が染み出してくる。

作った池に水がたまり始めたのだ。


「フハハハハハハ!見ろ神よ!!この水で大地を潤して見せるぞ!!」

濁流が収まると草花が芽吹き始める。

「いいぞ、いいぞ!萌えている!!」

大地萌え!!

このまま草が伸び、その中から木が生え、大木となって地下から水を吸い出すのだ!!

日光を浴びて酸化物から炭素を奪い乾燥した空気に潤いを与えて昼夜の温度変化を少なくするのだ。

勝利は見えた!!


しかし、花が実を付ける前に不吉な黒い影は忍び寄っていたのだ。


今日も朝日が出たので、中継器の映像だ。

たのしいザッピングを行う。

風になびくお花畑を眺めるのだ。

朝日にきらめく朝露の…。

「うん。なんだ?この大地のシミは?」

まるで黒い水溜りの様な影が有る。

一番近い中継所の映像に切り替える。

映像が出ない、暗いままだ。

「おかしいな…。」

通信は確立している、自己診断もOKだ。

近隣の中継器からの映像では外観に損傷はない。

望遠とピントを弄る。

ピントが会うと…。

「何じゃコリャー!!」

黒い影は大量のバッタだ。

空には黒い雲の様にバッタの大群が犇き飛んでいる…。

思わず顎が落ちる。

「蝗の大群だ!!」

バッタがどんどん俺の萌えを食い荒らしている!!

「全砲門開け!!俺の萌えを守るんだ!」

城壁、中継器、蜘蛛型ゴーレム。

全ての火力が投入されバッタを焼き尽くす。

しかし、飛び立つバッタは億千万おっくせんまん

「いかん!!主砲発射!!」

塔の頂点の砲台が動き空をレーザーが焼く。

「薙ぎ払え!!」

対空レーザー砲が指向して光が迸る。

全兵力を投入した結果…。


大地は礫砂漠に戻った。

つまり…。俺はバッタに負けた。

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