第6話:地上軍団
それから4回目の冬が近づく頃に、塔が完成して城壁が出来た。
塔唯一の出入り口。
広くて長い階段の最上段で整然と並ぶ岩のゴーレム兵数万の大軍を見る…。
毎日コツコツ10体製造。
気分で20体以上作った日も有った…。
骨が足りなくて肋骨や尺骨を使った日も有った。
鎖骨使ったらその日、腕が上がらなくなったのは良い思い出だ。
その結果がこのゴーレム兵団だ。
「クククククククク、すばらしい!フハハハハハハハハハハハ」
高笑いが風に消える。
「しまった、つい城を作るのが楽しくて難攻不落の城を作ってしまった…。」
星型の重なった城壁の上には迎撃装置が並び。
外には三重の空掘り。
堀に落ちた兵を一掃する目的の掃射壕も付いている。
城内には、防火貯め池にする枡や、
円錐形に近い塔の側面には多数の隠し狭間、中身は
最上階には回転砲塔に全方位、六連装大口径レーザー砲だ。
副砲の対空高角砲も付けて置いた…。
全ての砲はお互いの死角をカバーして全ての正面は十字砲火…。
城壁は地下20mから建っており、基礎杭には聴音装置が付いている。
コレで対地下坑道戦もばっちり。
対空防御は、射撃管制装置で複数の砲を同じ目標に指向できる。
無論、複数の目標にも…。
特にレーザーは連射能力とカタパルトは投射能力に拘った。
俺の考えた最強の城だ…。
何人たりともダンジョン内に進入できないであろう…。
冒険者所か、大軍が来ても大丈夫。
でも質量兵器はかんべんな。
その内に遊星爆弾への対応策を考えよう。
ダンジョン内に誰も入れません。
「ダメじゃん!!」
神は言っていた…。生物に資源を供給するためにダンジョンを作っていると…。
「何か作っている内に楽しく成って色々やりすぎたーーー!!」
大空に叫ぶ。
ちょっと気が晴れた。
「ふう、ネオン看板のアルゴンガスが手に入らないからルビーで発光管作ってたらレーザーが出て色々、方向を間違えた。」
自分に言い訳をする。
始めの試験機で鉄板が焼き切れたのでテンションが上がってしまった。
ちょっと、悪乗りしたが問題は無いだろう。
何せ未だ客人は来ていない。
塔の最上部、砲塔の上に並ぶ遠くを監視する塔型ゴーレム…。
ちょっとファランクスシステムをパクった。
早期警戒システムの望遠で見える範囲に生命は居ない。
「なので、こっちから出向く事にしよう。」
並ぶ武器を装備した石のゴーレム達。
「総員!散開して周囲を捜索せよ!!」
整然と一列になり各地に散って行く岩のゴーレム達を眺める。
10年ぐらい待ったけど、爬虫類すら見たこと無い。
一応、遠くを飛ぶ渡り鳥の群れを見てテンション上がった事はある。
何処かに森と湿地が有る証拠だ。
だから、この盆地の隅々を調べる。
その内、囲む山を越える。
脳内MAPが広がり、この盆地を埋め尽くすだろう。
最後のゴーレムが去ると。
塔に戻る。
塔の門を潜ると水晶のゴーレムが巨大な扉を閉めた。
奥には二体の巨大なゴーレムが並び豪華な扉が有る。
いきなり中ボスだ。
腕6本に両手に弩弓に剣と盾。
天井付近に並ぶガーゴイルの姿の自動迎撃レーザー。
大軍がこの門を打ち破っても大丈夫。
玄関開けたら十字砲火だ。
なお、巨大ゴーレムが守る扉はダミーで扉を開けると床が無く、向かう壁にはフェイク(開かない)扉。
初見殺し盛り沢山でお送りしている。
本物の扉は天井に付いている…。
JAMPしないと入れない…。
その前に”POLISH PILLAR”しないと開閉レバーが現れない仕様だ。
難易度を上げるには不条理は当たり前。
初期のゲームでは常識だ。
人類はこんな事で挫けていては霊長類になれないぞ。
せっかく隠蔽しているドアを開ける必要は無いので。
移動魔法で最下層に飛ぶ。
玉座の間は冒険者出迎え戦闘用でココは寝室兼、作業用の小部屋だ。
寝室と言ってもベッドが有るのではない。
睡眠は必要ないので、休憩は椅子だけで結構だ。
大概は、小指が戻るのを待つ為の物だ。
玉座の間でも問題は無いが気分の話でどうも広い部屋は落ち着かない。
リクライニング椅子に体重を任せて、脳内作業に戻る。
塔の最上部、砲塔からの望遠映像を見て歩くゴーレム達の背中を見る…。
横一列に並んで進んでいる。
「順調だ。」
次は城の中…。塔の中…。地下ダンジョン…。
ザッピングで映像を切り替えて異常を探す。
水晶ゴーレム達は塔内のメンテナンスで忙しそうだ。
穴掘りは止めたので資材在庫が目減りしている。
鉄のゴーレムは1ヶ月で錆びるのが判明したので解体した。
解体したら骨が残ったので再度、水晶で再構築した。
特に問題なく動いている。
金属は錆びるのだ…。
その点、金は錆びないので俺の鎧に成っている。
ダイヤモンドゴーレムを作ろうかと思ったが…。
「火炎で炭素に戻らないか心配だ…。」
お陰で俺は
銀のゴーレムなんてとんでもない、酸化してあっという間に真っ黒だ。
目指せ18-8ステンレスゴーレム。
脳内MAPが広がっている…。ゴーレムの最南端の集団が、そろそろ10kmポストへ到着する筈だ。
投石器のテストで飛ばした石が有る。
二台のレーザー砲の方位角で距離は出ている。
「さて…何番の
先頭のゴーレムの映像に切り替える…。
「なんだ…。随分と映像が荒いな…。」
ゴーレムの視界が狭い…。
「まさか…。」
北進しているゴーレムに合わせる。
方位角から未だ9kmは離れていない。
南に城門が有る関係で城を半周している分、離れていない。
映像はクリアだ。
「索敵班、停止せよ!」
脳内MAPのゴーレム達は待機モード常時に成った。
最北端のゴーレムだけ進ませる…。
レーザー砲台の照準は合わせたままだ。
徐々に画像の視野が狭く成り始めた…。
そのまま歩かせる。
城壁から12kmを越えた所で片足を踏み出そうとした所で停止。
そのまま地面に倒れた。
脳内光点も消えた。
いや、光点が薄い色に変わっている。
「制御が効かないのか?」
”戻れ”と命令するが立ち上がらない。
10Km越えると…、途端に制御が悪くなる。
神はこれ以上は進むなと言っているのだろうか?
活動限界は解った。
対策は有る、
問題は活動限界を超えて
コレから回収用の鎖を付けて作業させるか?
取り合えず近くの一番大きな骨で作ったゴーレムを選択して回収に向かわせる。
大きな骨で作ったゴーレムは、細かい
難なく回収ゴーレムが動作不能に成ったゴーレムに接近すると倒れたゴーレムが起き上がり…歩き出した。
脳内の通信も映像も回復している。
「うん?どう言う事だ?」
思わず回収組の足を止める…。
距離の離れて行く
回収組を歩かせると歩き出す遭難ゴーレム。
追いかけっこ状態で遭難組を停止させ。
反転して元の列まで下がるように指示を出す。
遭難したゴーレムの基本情報を見る…。
右手の小指の先だ…。
回収班がそのまま進んでいる…。
すれ違い離れていく。
回収ゴーレムに映像に問題は無いので通信は途切れていない。
基本情報を調べる…。肋骨を使ったヤツだ。
「骨の大きさで…。限界が違うのか?それより、何故、仲間のゴーレムが接近すると動いたんだ?通信を中継する機能があるのか?」
どちらにせよ、通信限界距離が存在するなら、この盆地を制圧するには何らかの中継器が必要になる。
無論、ソレには通信中継器が沢山要る。
大きな骨は貴重だ、直ぐに数は揃わない。
「何か方法を考えよう。」
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