放蕩野郎
ホラインは遊びほうけるダーバイルを放置して、一人宿で眠りにつく。
もともと彼は一人旅。ダーバイルに都合を合わせる理由はない。
◇
明くる朝、ホラインは早起きして、都を発とうと宿を出た。
念のため、昨夜の酒場をのぞいてみると、ダーバイルは酔いつぶれて眠っていた。彼の他にも何人かの酒飲みたちがだらしなく眠っている。
一晩中騒ぎ倒して、疲れ果てたか。
ホラインはあきれて大きな息をつき、無言で酒場を出て行った。
◇
そして五日後、ホラインは折り返し、再びハバルに戻ってくる。酒場でちょっと飯でも食って一休みと思っていたホラインは、またダーバイルと再会する。
ダーバイルは少し疲れの見える顔で、ちびちび酒を飲んでいた。
「そなたまだ飲んでおったのか」
ホラインが冗談交じりに話しかけると、ダーバイルは苦笑い。
「いやあ、さすがに六日も遊べば金が尽きて」
「本当にずっと飲んでおったのか」
冗談で言ったつもりが大当たり。ホラインはあきれ果てて続く言葉が出てこない。
ダーバイルは「よいせ」と重い腰を上げて席を立ち、ホラインの肩を叩く。
「ほいじゃ旦那、もう一稼ぎしに行きましょう」
何を勝手なとホラインは思うものの、彼もまた旅で金を使ったところ。余分にあって困るものでなし、ホラインはダーバイルについて行く。
◇
ダーバイルが向かった先は、街中の小さな質屋。店内に入るなり、彼は番頭に呼びかける。
「おう、店主! 若旦那に用がある」
気安い態度に番頭は嫌な顔。
「ええと、あなたは誰ですか?」
「トレジャーハンター・ダーバイルが来たと言えば、すぐわかる。とにかく早く呼んでくれ」
横柄なダーバイルに番頭もホラインもあきれ顔。
しかしながら、断固として動かないダーバイルを放っておくわけにもいかず、番頭はしぶしぶ使いを呼び寄せて、若旦那に知らせに行かせる。
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